朝方から降り始めた雨は、トロロッソ・ホンダにとって、恵みの雨とはならなかった。
雨はフリー走行3回目が始まる午後2時にはほとんど上がったものの、60分間のセッションのほとんどはウエットタイヤとインターミディエイトタイヤを装着しての走行となった。
だが、トロロッソ・ホンダは金曜日の夜に、車体側もエンジン側も、それぞれセッティングを変えていたため、そのセッティングを予選前の60分間の走行で確認したかった。そのためにはドライコンディションが好ましかったのである。
ところが思いの外、路面コンディションの改善が遅く、ドライで走行できたのは残り5分というタイミング。ピットアウトした周とピットインした周だけだった。
「本来であれば、それをフリー走行3回目に確認したうえで、予選に向けて、さらに細かく設定を調整しようと予定していたので、それができなかったことは残念です」(田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクター)
それでも、何年もF1を走らせているベテランなら、なんとか対応できただろう。しかし、フル参戦初年度、しかもアルバートパークが初レースというピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーには、このコンディションの変化に対応するのは少し荷が重かったようだ。
それはトロロッソ・ホンダの2人だけでなく、ルーキーのシャルル・ルクレール(ザウバー)とセルゲイ・シロトキン(ウイリアムズ)もQ1落ちしていることからもわかる。
それでも、2人は少しでも上を目指してQ1の最後のアタックを限界ぎりぎりまで攻めた。そして、2人はミスをした。
「3コーナーで攻めすぎてブレーキをロックアップさせてしまった」(ガスリー)
「思っていたよりもブレーキが冷えていて、1コーナーでミスしてしまい、コンマ2、3秒失った」(ハートレー)
若いトロロッソ・ホンダには改善すべきことが山積している。その事実を認め、ひとつひとつ解決していかなければ、未来はない。ミスをしたことは残念だが、そのことを素直に認めた2人を、チーム内で攻める者はだれもいないはずだ。