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「良いもの描いても給料は10万前後。仕送りなしに都内居住は無理」 若手アニメーターの実態調査から明らかに

2018年03月24日 11:11  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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NPO法人「若年層のアニメ製作者を応援する会」(AEYAC)は、2017年度版の「若年層アニメーター生活実態調査」の結果を発表した。回答者は、経験年数3年以内の44人。

調査からは、52%が家族から何らかの経済的援助を受けて生活していることが分かった。経済的に苦しい状況に加え、徹夜や寝泊まり作業の多さなど体力的な負担も大きく、「せめて月6日は休みが欲しい」といった切実な声が寄せられている。

「現在経済的な事情から休業しています」という人も

回答した44人のうち、実家暮らしは12人、実家暮らし以外は32人。東京・関東圏以外の地域出身で現在東京に居住する人が20人と、半数近くが上京者だ。

直近3か月間の平均収入額を聞いたところ、最も多かったのは「12万5001円~15万円」(14人)、次いで「7万5001円~10万円」(13人)だった。経験年数別に見ると、1年目の人は68.9%が10万円以下だった。2年目、3年目になるにつれ、平均月収のボリュームゾーンは上昇していく。3年目になると、月収10万円以下と答えた人はいなくなり、半数が月収15万円だった。

収入額と居住地、家族からの経済的支援などを考慮すると、経験3年目までの若手アニメーターは、独立して生計を立てることが困難な状況にあると分かる。特に、1年目の若手アニメーターの収入は低く、貯金がなければ暮らすのもままならない。

「仕事をしていて辛いこと」として、給与の低さを挙げる人は多く、

「いくら良いものを描いても給料は10万行くか行かないか。都内で生活するのは仕送りがなければ無理」
「社会人として生活出来る程の給料をもらっていない」

などの声が寄せられていた。就職する前に貯金をしておけばよかったと後悔する人の中には、「現在経済的な事情から休業しています」という人もいた。

「せめて業界全体に定時帰宅や週休2日制が根付いてほしい」

体力面でも厳しい状況に置かれている。徹夜経験が「ある」と回答した 16人に、ひと月あたりの徹夜頻度を聞いた。16人中10人は「月3回以内」と答え、全体の傾向としても、これが最も多かった。ただ、「月に10回」「月に15回」など、非常に高い頻度で徹夜作業をしている人もいた。

寝泊まり作業をしたことのある人は25%。「月に10回」「月に20回」と、ほぼ連日のように会社に泊まっている人もいる。

「数少ない休みに外に出て刺激を受けようと思っても、連勤の疲れで外に出る気もなくなる」と明かすアニメーターもいて、

「せめて業界全体に定時帰宅や週2休制(原文ママ)などが根付いてほしい」 「月6日の完全休業は体力的に必要かと」

など、働き方に関する改善の要望も多く出ていた。