東京オリンピックに向け、受動喫煙防止策を講じる例が増えている。こうした中、長崎大学病院は、段階的に敷地内にたばこの持ち込みも禁じる「たばこフリーホスピタル」を目指す。3月22日には、病院入口に「禁煙実践病院」の大型看板も設置した。
たばこの敷地内持ち込み禁止は、現在、東京都の武蔵野病院、大阪はびきの医療センターなどで実施されている。今月上旬に閣議決定された健康増進法の改正案では、病院は原則として敷地内全面禁煙化が定められたが、長崎大学病院を始めとする取り組みは、更に厳しいもののようだ。
喫煙1回目は口頭注意、2回目以降は勤務評価などに影響
敷地内へのたばこ持ち込みが禁止は、2020年からの実施を予定している。長崎大学病院では、2008年6月に敷地内の喫煙所を撤廃し、全面禁煙に移行した。しかし、職員らによる敷地外での喫煙が目立つようになり、近隣住民からの苦情も寄せられたため、2年ほど前に規定を変更。勤務中は、休憩時間も含め喫煙禁止とした。
さらに昨年4月からは、勤務時間中に敷地内で喫煙した職員へのペナルティも作った。1回目は院長からの口頭注意で済むが、2回目は、勤務評価やボーナスの査定に響くなど、厳しい内容になっている。
職員らの喫煙率は把握していないということだったが、この1年、ペナルティを受けた職員はおらず、広報担当者個人の感想としても「仕事中に吸っている人は見なくなった」と言う。禁煙の取り組みはだいぶ浸透しているようだ。
「たばこフリーホスピタル」を目標にしたのは、職員だけでなく、外来患者や業者を含む関係者すべてに受動喫煙防止に取り組んでもらうためだ。敷地内の持ち込み禁止をどうやって実現するか、具体的な方法はこれから考えていく。
現在院内では、音声アナウンスや掲示物を使い、敷地内禁煙の周知をしている。「損害賠償請求を行う場合もある」と伝えているが、
「あくまでもたばこの火で火災等が起きたときのことで、吸っているだけでは口頭注意だけです」
と説明していた。担当者は「医療機関ということもあるので、今後はより一層禁煙対策に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。