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ポルノグラフィティ、『ホリデイ・ラブ』主題歌は洋楽志向に? 打ち込み多用したサウンドを聞く

2018年03月23日 17:22  リアルサウンド

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 ポルノグラフィティはサウンド面でももっと評価されるべきアーティストだーー仲里依紗、松本まりから出演ドラマ『ホリデイ・ラブ』(テレビ朝日系)の主題歌でもある新曲「カメレオン・レンズ」を聴き、改めてそう感じた。


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 『ホリデイ・ラブ』は“夫婦の純愛”にフォーカスした不倫ドラマだが、松本まりかの怪演が大きな話題を呼んでいた。そんなドラマのアダルティな雰囲気とマッチし、ストーリーを盛り上げていたのが「カメレオン・レンズ」だ。<ありのままの真実なんて誰も見ていやしない><林檎の赤は君にどんな風に見えている?>それぞれの視点によって“真実”が異なる、と歌う歌詞はドラマの登場人物たちにそっと寄り添うかのようだった。


 ポルノグラフィティは過去にも「ジョバイロ」(2005年、TBS系ドラマ『今夜ひとりのベッドで』)「瞳の奥をのぞかせて」(2010年、テレビ朝日系ドラマ『宿命 1969-2010 -ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京-』)といった楽曲で“大人の恋愛”を描いたドラマを彩ってきた。今作含め、岡野昭仁(Vo / Gt)の切なく色気のあるボーカルや、新藤晴一(Gt / Cho)の描く妖しげな世界観がドラマと見事にマッチしていたように思う。


 しかし、“これぞポルノグラフィティ”と言うべきラテンテイストの「ジョバイロ」、ストリングスを前面に押し出した「瞳の奥をのぞかせて」に対し、今回の「カメレオン・レンズ」は打ち込みが目立つ洋楽志向の強いサウンドに仕上がっている。近年の彼らは夏フェスなどに精力的に出演、音楽番組でも度々熱いパフォーマンスを見せてきた。もちろんライブ映えする楽曲が多いのは事実だが、彼らの魅力はそうした部分だけではない。昨年10月に発売したアルバム『BUTTERFLY EFFECT』では、打ち込みを主体とした「MICROWAVE」などチャレンジングな楽曲も目立った。さらに同作のリリースツアー『15thライヴサーキット“BUTTERFLY EFFECT”』ではサポートギターを入れながら、新たな表現を探っている印象を受けた。


 不思議なことに、岡野の特徴的な歌声はまさしく“カメレオン”のようにサウンドによって、大きく異なる表情を見せる。前作「キング&クイーン」では真っ直ぐで伸びやかな印象が強かったが、「カメレオン・レンズ」ではセクシーなボーカルにどきりとさせられる。それは「ジョバイロ」や「瞳の奥をのぞかせて」といった楽曲にも通ずるところではあるが、生音ではなく打ち込みを多用した今作では、改めてその表現力がいかに優れているかを痛感した。そしてそうしたサウンドだからこそ新藤の奏でるギターはより切実に響き、彼の紡ぐ生々しい言葉も胸に刺さるのだ。


 コアなリスナーにとっても興味深いサウンドとなっている「カメレオン・レンズ」。本日3月23日に出演する『ミュージックステーション 2時間スペシャル』(テレビ朝日系)を通じて同楽曲がさらに広く知られ、また新たなファンを獲得していきそうだ。(村上夏菜)