映画『影踏み』の製作が発表された。
『64』『クライマーズ・ハイ』『半落ち』などの作品で知られる横山秀夫の小説『影踏み』を映画化する同作。深夜に忍び込んで泥棒を働く「ノビ師」の真壁修一が、幼なじみの刑事の変死やヒロイン・久子へのストーカー事件などに立ち向かいながら、久子との恋と泥棒稼業の狭間で揺れる様を描く恋愛ミステリーだ。
主演を務めるのは映画『8月のクリスマス』以来、約14年ぶりに長編映画に主演する山崎まさよし。監督は山崎の主演映画『月とキャベツ』を手掛けた篠原哲雄が手掛ける。山崎と篠原監督が長編映画でタッグを組むのは約22年ぶり。また同作の主題歌も山崎が担当する。
同作は、『月とキャベツ』のファンで山崎主演で自作の映像化を望んでいた横山と、長年にわたって横山の作品を愛読してきたという山崎、『月とキャベツ』の公開20周年を機に山崎の再タッグを望んでおり、いつか横山作品を映像化したいと考えていた篠原監督の3者が、2016年に群馬の『伊参スタジオ映画祭』にゲストとして招かれたことをきっかけに実現。横山が山崎に合う作品として自ら『影踏み』を提案したという。
オールロケとなる撮影は5月に群馬でクランクイン。公開は来春以降を予定している。
山崎は久しぶりの長編映画主演について「ずっと役者とは全く違う動きの中で活動してきたので、今はプレッシャーを感じています」と明かしているほか、主題歌については「悲しさやどうにもならない気持ち、救い、最後には報われるのか、形はわからないけどそんな主題歌が書けたら。登場人物が抱えるジレンマや葛藤はこの物語に出てくる人誰もが持っているものです。その部分が成就していく醍醐味を描きたいと思います」とコメント。
また篠原監督は山崎について「男のダメなところを自然に演じられる、人間の弱さを悪びれずに自然体に演じられるのが魅力です。色んな役で人間の表面化しない裏側も悲哀を伴って出てくる感じが僕は好きなんです。愛すべきアウトローですかね」と語っている。
原作者の横山は「山崎さんと篠原監督が素晴らしい世界観を作ってくれるでしょうから、原作にとらわれずに作っていただきたい。僕はその『影踏み』を楽しみたいと思っています。ミュージシャンとして人の心を盗むのがうまい山崎さんは、実は“泥棒”という役がぴったり合うんじゃないかと思っています」と期待を寄せている。
■山崎まさよしのコメント
・久しぶりの長編映画主演について
今回は、過去の経験も踏まえて最初から主演でとお話をいただきました。ずっと役者とは全く違う動きの中で活動してきたので、今はプレッシャーを感じています。
・真壁という役について
今回はミュージシャンである自分とはかけ離れていますが、歌を書く時の目線は底辺から色んな景色を見たいと思って歌を作っています。その意味では真壁と同じ目線になれるような気がします。そういう共通項を自分の中に見つけていければと思っています。
真壁もしくじりから始まっているし、心の闇も抱えているから、真摯に役に向き合っていきたいです。
・横山秀夫作品の魅力
どの作品でも、普段クローズアップされないポジションにスポットを当てているところ、普段は人々が知るよしもない人間臭い部分を描いてところが好きなんです。
・今後制作する主題歌について
悲しさやどうにもならない気持ち、救い、最後には報われるのか、形はわからないけどそんな主題歌が書けたら。登場人物が抱えるジレンマや葛藤はこの物語に出てくる人誰もが持っているものです。その部分が成就していく醍醐味を描きたいと思います。
■篠原哲雄監督のコメント
・撮影に向けての意気込み
僕のイメージとしては、色んな設定を通じて浮かび上がってくる人間の造形を描きたいと思っています。“中耳”にいる人間は真壁にとっては分身で切っても切れない存在です。その男の成長と愛と決別の物語だと思っています。確かな結論がいつもあるわけではないので、山崎くんに演じてもらう中で見えてくるものがあると期待しています。
・山崎まさよしの魅力
男のダメなところを自然に演じられる、人間の弱さを悪びれずに自然体に演じられるのが魅力です。色んな役で人間の表面化しない裏側も悲哀を伴って出てくる感じが僕は好きなんです。愛すべきアウトローですかね。
一緒に仕事をするたびにいつも新しい山崎くんを発見できています。権力に対しての反抗心は誰にもどこかあるし、泥棒という仕事が成功するかどうかというスリル、緊張感、快楽はステージに立つ時のものと似ている気がするんです。今回も彼の魅力をどう引き出せるかが楽しみです。
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『月とキャベツ』と同じく群馬で行なわれる撮影で、どういう風景を撮影するか
今回は群馬のあらゆるところ、住宅街や田んぼや空き地といったとりとめのない空間での撮影になります。そのとりとめのない風景を乾いた面白さとして捉えたいと思っています。
■横山秀夫のコメント
・泥棒を主人公とする『影踏み』について
警察などの組織も泥棒も同じフィールドにある感覚なんです。組織と個人の関係を突き詰めて考えていくと、最終的にはどんな立場の人間であれ世の中のしがらみと無縁ではいられない。すべての人間はそこから逃れられない。地面スレスレから見た社会を描きたいと思いました。
・映画への期待
山崎さんと篠原監督が素晴らしい世界観を作ってくれるでしょうから、原作にとらわれずに作っていただきたい。僕はその『影踏み』を楽しみたいと思っています。
ミュージシャンとして人の心を盗むのがうまい山崎さんは、実は“泥棒”という役がぴったり合うんじゃないかと思っています。でも、山崎さんを泥棒にしてしまって申し訳なく思っています(笑)