ピレリは、新しい専用ソフトウェアを使って、今季のタイヤ選択に役立てようとしている。その主な狙いは、チームにピットストップ戦略の選択肢をできるだけ多く与えることにあるという。
F1の独占タイヤサプライヤーであるピレリは、今年からレースで使用できるコンパウンドの種類を増やし、さらに昨年の保守的なアプローチを脱して、各コンパウンドをそれぞれ1段階ずつ柔らかいものに変更した。
チームがレースで割り当てられるのは、昨年と同様に3種類のコンパウンドだ。しかし、ピレリの選択は、必ずしも「隣り合った」3種類になるとは限らない。つまり、あるコンパウンドをスキップして3種類が選ばれる可能性がある、ということだ。
「とても優れたツールを手に入れた。私たちがこの冬の間に作り上げたソフトウェアは、各レースでの3種類のコンパウンドの組み合わせを決めるためのものだ」と、ピレリF1のボス、マリオ・イゾラは言う。
「このソフトウェアは、レースの所要時間に応じて、採りうる戦略の総数を弾き出してくれる」
「これを使えば、常に戦略の選択肢の数が最大になるように、3種類のコンパウンドを指定できるようになる。もちろん、基本的にターゲットとするのは2ストップだ。しかし、2ストップだけに限定はせず、オーバーテイクや順位変動を増やしていくことを目指して、理論的に可能な戦略の数が最も多くなる組み合わせを選ぶつもりだ」
「このソフトウェアは、膨大な数の比較対照を短時間で行うためのツールだ。ただ、正確な答えを得るには、正確なデータを入力しなければならない」
「開幕戦以降、良質なデータを集めてソフトウェアをアップデートしていけば、シミュレーションとタイヤ選択の判断もより正確になっていく」
「以前は違うシステムを使っていた。過去に使っていたソフトウェアと比べると、新しいものはより多くの条件を考慮することができる」
「新しいソフトウェアでは、より正確で現実に近いアウトプットが得られると思う。モデリングが以前よりも精密になったからだ」
ピレリによると、タイヤの指定において、あるコンパウンドをスキップするかどうかは、各コンパウンド間の1周のラップタイムデルタによって決まるという。
隣り合うタイヤとのデルタ(タイム差)が小さいほど、そのタイヤが使われずに、次のものが選ばれる可能性は高くなるのだ。
「たとえば、ソフト、スーパーソフト、ウルトラソフトの間にあまり差がないことが分かった場合、以前に中国でやったように、ミディアム、ソフト、ウルトラソフトを指定する可能性がある、ということだ」
「アブダビ(昨年11月に行われたテスト)で得たデータで確認作業を行ったところ、ソフトとスーパソフトの差は0.6秒、スーパーソフトとウルトラソフトの差は0.4秒だった。こうしたデータに基づいて、タイヤの選択を微調整することで、最適な組み合わせを選べるようになるだろう」