F1バルセロナ合同テスト2回目が終了し、マシンの速さそして信頼性が見えてきた。今回は全チームの戦闘力を分析し10回にわたり連載していく。第4回目は合同テストで総合1-2位のタイムを叩き出したフェラーリだ。
———————————
●フェラーリ(チーム戦力:95点)
今年の合同テストで堂々のトップタイムをマークしたのはフェラーリだった。セバスチャン・ベッテルが自身の最終テスト日となる3月8日に1分17秒182を叩き出すと、チームメイトのキミ・ライコネンも最終日の3月9日に1分17秒221をマークして総合2位につけた。
このタイムは昨年のスペインGPの予選でルイス・ハミルトンが記録した1分19秒149という2007年のレイアウト改修後のカタロニア・サーキットのコースレコードを塗り替えるスーパーラップだった。
だが、フェラーリが記録したベストタイムはいずれもハイパーソフトを装着したもの。ピレリによれば、ハイパーソフトとウルトラソフトのタイム差は、1周あたり0.7秒。同様に、ウルトラソフトとスーパーソフトの差は0.6秒。スーパーソフトとソフトの差は0.4秒。そしてソフトとミディアムの差は0.85秒だという。
昨年のソフトは今年のミディアム。もし、メルセデスがハイパーソフトを履いていれば、1分16秒599あたりのタイムは出していたと考えらる。つまり、トップタイムは出したものの、フェラーリのアドバンテージはそれほど大きくはない。
フェラーリには一発のタイムで数字ほどのアドバンテージがないだけでなく、ロングランでも課題が露わになっている。
メルセデスは3月8日(バルテリ・ボッタス)と9日(ハミルトン)にレースシミュレーションを行なっていたが、同じタイミングでフェラーリもレースシミュレーションを行っていた(8日はベッテル、9日はライコネン)。
第1スティントがフェラーリはスーパーソフトでスタートしたのに対して、メルセデスがミディアムだったので、両チームともミディアムを履いた第2スティントと第3スティントで比較してみた。それによれば、彼らの中盤と後半のロングランペースは次の通りだった。
▼ボッタス
第2スティント(ミディアム)
31周目1分23秒6→46周目1分20秒4
(15周のうち1分20秒台は9周)
第3スティント(ミディアム)
49周目1分21秒2→66周目1分21秒3
(17周のうち1分19秒台は13周)
▼ハミルトン
第2スティント(ミディアム)
31周目1分22秒5→46周目1分20秒7
(15周のうち1分20秒台は9周)
第3スティント(ミディアム)
49周目1分22秒0→66周目1分23秒0
(17周のうち1分19秒台は9周)
▼ベッテル
第2スティント(ミディアム)
15周目1分22秒5→39周目1分22秒0
(24周のうち1分20秒台は0周)
第3スティント(ミディアム)
42周目1分24秒0→64周目1分19秒9
(22周のうち1分19秒台は1周)
▼ライコネン
第2スティント(ミディアム)
12周目1分23秒1→33周目1分22秒4
(21周のうち1分20秒台は0周)
第3スティント(ミディアム)
36周目1分21秒9→53周目1分21秒4
(17周のうち1分19秒台は0周)
フェラーリが第1スティントでスーパーソフトを履いて10~13周でピットインして、第2スティント以降の周回数がズレでしまったため、正確な比較はできないが、同じミディアムを履いた場合、ロングランでフェラーリがメルセデスより、約1秒遅いのである。
フェラーリが今年もメルセデス、レッドブルとともに優勝争いに加わることは間違いない。問題はその力関係だ。昨年は、フェラーリとメルセデスががっぷり四つでタイトル争いを繰り広げ、時々それにレッドブルが絡むという状況だったが、今年はメルセデスが抜け出し、フェラーリはレッドブルと残った表彰台のひとつを争うのではないか。