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パスカル・ウェーレイン インタビュー「SFも出てみたいけど、今年はDTMに集中したい」

2018年03月22日 21:21  AUTOSPORT web

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2018年はDTMに復帰することになったパスカル・ウェーレイン
2017年までF1で活躍し、今季はDTMドイツツーリングカー選手権に復帰することになったパスカル・ウェーレイン。2016年はマノー、17年はザウバーと渡り歩いた男は、メルセデスのDTM参戦ラストイヤーでのチャンピオン獲得に挑むことになるが、DTM復帰を前にしたウェーレインに、今の心境と今後の活動、日本のレースへの関心を聞いた。

■テスト不足は問題ない
──F1の2017年シーズン終了から短くもあり、ある意味長く感じたオフシーズンだと思いますが、今はどんな気持ちでシーズンインを控えているのですか?
パスカル・ウェーレイン(以下PW):やっと長い冬が終わって、今季の行き先が決まってうれしいよ。今までにないほどとても長く感じたオフだったね。家のソファにゆっくり座っているよりも、やっぱりレーシングカーのシートに納まるほうがずっといいよね。

──バレンルガでのDTMテストでは、ドライブするはずだったマシンがクラッシュしてしまい、ドライブの機会を失ってしまいました。今季は以前DTMにいた2015年までとはまったく違うマシンになっていますが、ホッケンハイムの最終テストまでドライブする機会がないのは不安ではありませんか?
PW:もちろんテストできなかったことはとても残念だけど、そんなことを話し合っている時間ももったいないし、ルーカス(アウアー)に怒りをぶつける気もない。マシン自体は変わってはいるけれど、バレンルガではチームメイトが走る様子をチェックしていたし、もう何度もエンジニアとデータを解析して、ミーティングも重ねているので問題ないと思う。次のホッケンハイムのテストで実際に走行するのを楽しみにしているよ。

──シミュレーターではすでに新型をドライブしましたか? また、シミュレーターはシーズン前の準備として役に立つものなのでしょうか?
PW:シミュレーターでは、もうニューマシンの感覚を多少はつかんでいるけど、やはり実車のステアリングを握り、クラッチの感触を確かめながら自分のカラダでフィーリングを確認することがいちばんマシンを理解できると思うよ。僕にとってシミュレーターはそれほど重要ではなく、これによって大きく助けられるということはないかな。

■将来のことよりも、今季いい結果が出せるように
──今季のマシンは共通パーツが増え、エアロによる空力が制限され、あなたが以前に参戦していた2015年までとはフィーリングも大きく違っているかと思います。今季はどんなレースになると思いますか?
PW:DTMは本当に全員のタイム差が小さいことで有名だけど、今季はその差がもっと狭まって、トップから最後尾までのタイム差がコンマ5秒程になると思う。その僅差のなかで、どうやって前の順位をつかめるようにするかは、とても難しいと思う。勝つためのベースを作るためにも、まずは予選でより前の順位を獲っておく必要があるね。たとえトップとのタイム差がわずかだとしても、中団以下のグリッドからスタートした場合、スプリントレースではオーバーテイクをするのはとても困難だからね。

──5月にホッケンハイムで行われる開幕戦でDTMに復帰しますが、残念ながらメルセデスにとってはDTM参戦のラストイヤーです。『1年限定』の活動となりますが、それについてはどう考えていますか?
PW:開幕前の今は、1年先のことまではまったく考えていないね。もしかしたらシーズン中盤から後半に入ったときに、少しずつ先のことを考えはじめるのかも知れないけど。メルセデスが長年活動してきたDTMから撤退してしまうのはとても残念だと思うけど、その思いだけで状況が変わることがないのは重々承知しているし、それを悲しむ時間があったら、より多くの好リザルトと、タイトルを獲れるような最高の1年を送れるように、チーム一丸となって今季の活動に集中して、レースを盛り上げる方がいいと考えている。

──今シーズンはイタリアのミサノで行われるレースがナイトレースになりますが、楽しみですか?
PW:今季のDTMのなかで、唯一ミサノだけは走ったことがないけど、ナイトレースはとてもクールだ。楽しみでしょうがないね! F1ではナイトレースを初めて経験し、ファンもそれを楽しみにしていてくれたのが分かったし、盛り上がるのは間違いないと思う。イタリアの夏は、昼間は気温も高く、エンジンやクーリング、ギアボックスやタイヤにもかなり負担がかかる。でも陽が落ちると少し気温も下がるので、マシンはもちろんのこと、ドライバーやクルーたちの体力を考えると、ナイトレースは理想的だと思う。外気が40℃だと、コクピットの中は約70℃になるので、ある意味ドライバーも限界ギリギリの状態になってしまうので、ナイトレースだと助かるよ(笑)。

■スーパーフォーミュラも出てみたいけど、DTMに集中したい
──今シーズンに向けて、DTMと並行して日本のスーパーフォーミュラへの参戦を考えていたと言われていますが、残念ながら参戦は断念したようですね。
PW:以前からスーパーフォーミュラのいい噂は聞いていて、出てみたいと願っていたんだ。ヨーロピアンF3時代に、ミュッケでチームメイトだったフェリックス・ローゼンクビストが昨年SFに参戦して、彼からいろいろとスーパーフォーミュラのことは聞いていたからね。でも、今年はメルセデスにとってDTMの歴史の最後を飾る年で、その責任や今季のプログラムがかなりタイトなので、DTMに集中することに決めたんだ。ただ、スポット参戦というかたちで実現する可能性はあるし、もしそうなったら嬉しいね!

──最後に、ちょっと余計な質問ですが……。世界中で騒がれたF1のグリッドガール廃止のニュースですが、F1で戦っていたドライバーとして、その騒動をどう見ていましたか?
PW:ドライバーとしての立場ではレースに集中しているので、グリッドガールが存在するのか、必要なのか、ということはまったく気にも留めていないというのが正直なところだね。最終的にグリッドガールの代わりにグリッドキッズを採用することになったけど、とても良いアイデアだと思う。サッカーの試合のエスコートキッズのように、目を輝かせて選手と一緒に誇らしげに入場してくる子どもたちを見ていると、F1マシンやドライバーが並ぶグリッドに、子どもたちが一緒に立つことは、とても特別な機会となるに違いないよ。