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「デーモン閣下」を模したアニメキャラクター、弁護士の意見分かれる 「肖像権侵害とは言えない」「名誉感情を侵害」

2018年03月22日 17:51  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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デーモン閣下がお怒りだ。NHKEテレの10分アニメ「ねこねこ日本史」で、自身に似たキャラクターが許可なく出ていたことに、ブログで「吾輩の姿の無断使用だ」「不快である。心身の損害を被っている」と不快感を示している。

同アニメは、猫のキャラクターが歴史上の偉人を演じる歴史コメディー。問題になったキャラクター「デーモン風高杉」は、3月15日放送の64話「破天荒シンガー、高杉晋作!~破天荒度MAX編~」で登場した。

異国との交渉役になった高杉晋作が相手に歌を披露するシーンで、ステージに上がった高杉晋作の姿がデーモン閣下を彷彿とさせる風貌だった。番組公式サイトでも、その姿を「デーモン風高杉」と呼んでいた。なお、現在サイトからこのキャラクターの記載は削除されている。

閣下はブログで

「デザイン上『偶然』とか『たまたま』似てしまったではなく、名前も含めて明らかに【吾輩の姿の無断使用】である」
「悪意はないのかもしれないが、無断で使用された事実にかわりはない」

と怒りを顕にしていた。

22日放送のバイキング(フジテレビ系)でも、この問題が取り上げられた。国際弁護士で元裁判官の清原博弁護士と、芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会」共同代表理事の佐藤大和弁護士が見解を述べたが、二人の意見は割れていた。

清原弁護士「ブログには、イラストでプライドを傷つけられたとは書いていない」


清原弁護士は、今回のケースは「肖像権の侵害にはあたらない可能性が高い」と言う。肖像権の侵害は、「芸能人の氏名や肖像を勝手に利用して金儲けをしているケース(パブリシティ権の侵害)」と、「本人のイメージが著しく害されたり、感情が強く傷つけられるケース」の2通りに分かれるが、どちらにも該当しない可能性が高いとの見立てだ。パブリシティ権の侵害については

「高杉晋作が破天荒だという特徴を視聴者にわかりやすく伝えたいという意図でデーモンさんを使用した。ことさらにデーモンさんのイメージを使って何かを宣伝したということでもない」

と指摘。イメージの侵害についても、ブログを読んだ限りでは、NHKから事前の連絡がなかったことへの不満を言っているだけで、「イラストからプライドを傷つけられた、恥ずかしい思いをした、とは書いていない。名誉感情を傷つけたとは言い難い」と説明していた。

佐藤弁護士「歌手なのに音痴を仄めかし、本人の名誉感情を侵害している」

一方、佐藤弁護士は、「社会生活上の受忍限度(我慢の限界)を超えているため、肖像権の侵害になる可能性が高い」という立場だ。アニメ内でデーモン閣下を出す必然性はなく、内容も、「音痴を仄めかし、本人の名誉感情を侵害している」と主張。二人の意見は真っ向から対立した。

佐藤弁護士が清原弁護士の主張を「証拠からしか判断しない。デーモンさんの気持ちに寄り添っていない」と批判し、清原弁護士が「じゃああなたはデーモンさんに電話したんですか」と言い返すなど、言い争いになる一幕もあったが、清原弁護士は、

「デーモンさんが、音痴という設定をどこまで認識していて、その設定でも傷ついたと感じているかどうかは、現段階では分からない。憶測で議論するのは危険のため、それは横に置いておき、ブログを読んだ限りで気持ちを最大限汲むと違法とは言えない」

と主張を補足していた。

ネットではデーモン閣下のブログに「大人げない」「言っていることは正論」など、賛否が分かれている。