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不登校の生徒を「学校に戻す」で炎上のプロジェクト 理事は「元の教室に戻らなくてもいい。学力と社会性を身に付けて」と説明

2018年03月22日 16:11  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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不登校の小中学生を支援するため、オンラインでの授業などを提供する「クラスジャパンプロジェクト」。今年2月に発足後、ネットでは「(不登校の生徒を)通学していた学校に戻す」という理念が批判を浴び、文言を削除するという事態に発展していた。

プロジェクトの中島武理事は、「必ずしも元の教室に戻らなくていい。不登校の生徒に楽しい教材を与えてあげたい。友人と切磋琢磨することで学力・社会性ともに成長させてあげて、自己肯定感を持てるようにしてあげたい」と話す。

「保護者から200~300件の問い合わせが来ている」

プロジェクトは、講師による映像授業やVRを用いた職業体験などの在宅学習サービスを提供する。オンラインには全国の生徒が所属する「クラス」があり、担任もいる。また、公民館や民間の学習塾を利用した、リアルの場も設ける予定だ。

この仕組自体は、角川ドワンゴ学園の「N高等学校」に近い。実際、中島理事は「N高」の設立メンバーでもあり、「N高に不登校の小中学生の親から相談が来ていたのが、クラスジャパンプロジェクトのきっかけになった」という。

同プロジェクトでは、自治体と協定を結び、学校を通して不登校児の保護者から希望を募る。提携している自治体が不登校対策の予算から費用を支払うため、家庭は授業料を負担する必要がない。

文科省は2005年、不登校の生徒への対応として、学外でIT等を活用して学習した場合には出席扱いにしたり、成果を評価に反映したりするよう求める通知を出している。しかし学外での学習を提供する事業者が限られているのが現状だ。同プロジェクトには、その穴を埋めるという意義がある。

「中学で不登校になってしまうと出席日数が足りない、内申書の成績が悪いといった理由で高校に進学しづらくなってしまいます。すると、そのままひきこもりになったり、働けなくなったりしてしまうんです。私たちは小中学校と提携していますので、オンラインでの学習を成績や出席日数として反映させることが可能です」(中島理事)

今年2月に発足して以降、「保護者から200~300件の問い合わせが来ている」という。今後、提携する自治体を増やしていく予定だ。

「これまでフリースクールには学校を否定し、学校と対峙する傾向があった」

3月上旬頃、サイトに掲載されていた「(不登校の生徒を)通学していた学校に戻す」というミッションがネットで批判を浴びた。中島理事は「元々通っていた学校の教室に戻ることだけを指しているわけではありません」と説明する。

「なるべく早くプロジェクトをスタートさせたいという思いから、一言一句検討せずに公開してしまいました。必ずしも元の教室に戻らなくてもいいので、元の教室に戻れるくらいの学力と社会性を身に付けてほしい。社会性を身に付けるトレーニングの場としてリアルの場を提供する予定です」

既存の学校に対する疑いがない、という批判もあったが、「これまでフリースクールには学校を否定し、学校と対峙する傾向がありました。しかし学校と提携しなければ、成績や出席日数に反映させ、進路を選べるようにしてあげられないのです」という。

プロジェクトと協定を結んだ島根県益田市の教育委員会・担当者は、提携の経緯について「理事の山本了輔さんが益田で『志塾』というフリースクールを運営しているご縁でお話を頂きました。自宅から出られない生徒さんのいるご家庭と事業をつないでいきたい」と話す。

プロジェクトへの批判については「言葉が不適切だったと聞いています。私達は『生きていくスキルを身に付けていく』ことが目標なのだと理解しています」という。この4月から保護者向けの説明を開始する予定だ。