F1バルセロナ合同テスト2回目が終了し、マシンの速さそして信頼性が見えてきた。今回は全チームの戦闘力を分析し10回にわたり連載していく。第9回は、テストで多くのテストに見舞われるも、総合で3番手タイムを叩き出したマクラーレンだ。
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●マクラーレン(チーム戦力:73点)
8日間の合同テストを終えた段階で、最も評価を下すのが難しいチームがマクラーレンだ。理由はトラブルが多すぎたからだ。
1回目のテストの初日にホイールナットの欠陥によって、走行中に右リヤタイヤが脱落。合同テストで最初の赤旗を出してしまい、初日はわずか51周の走行にとどまった。
エリック・ブーリエ(レーシングディレクター)は初日のトラブルについて「ただホイールナットが緩んだだけ」と軽く流したが、トラブルは2日目も続いた。
今度はエキゾーストクリップが破損するというトラブルだった。エキゾーストを固定するクリップが緩んだことで、ワイヤリングルームの一部がダメージを負ってしまい、初日よりも少ない37周しか走ることができなかった。3日目は悪天候でウエットタイヤで11周走っただけ。1回目のテストでトラブルフリーだったのは4日目だけだった。
3月に入って行われた2回目の合同テストでもマクラーレンのトラブルは止まらなかった。
初日、インスタレーションラップに出て行ったストフェル・バンドーンはパワーを失った状態でピットに帰還するのである。原因はパワーユニットのバッテリーが原因で電気系統がシャットダウンしたためだった。
1時間後に走行を再開したものの、再びパワーユニットがシャットダウン。長いお昼休みの後、コースに出たバンドーンだったが、今度はハイドロ系がトラブルに見舞われてコース上でストップ。38周に終わった。
このときもブーリエは「バッテリーとハイドロ漏れのトラブルだ。騒ぐほどのことではない」と余裕の表情だったが、翌日もトラブルは続いた。漏れたオイルがエンジンにダメージを与えてしまったため、パワーユニットを交換しなければならなかったのだ。
3日目はトラブルフリーだったが、4日目に再びトラブル。ターボが不具合を起こし、オイル漏れに見舞われてエンジン交換を余儀なくされたのだ。
つまり、今回の合同テストでのマクラーレンは、トラブルに始まり、トラブルで終えた形となった。
これでタイムが遅ければ、低く評価すればいいのだが、最終日にフェルナンド・アロンソがテスト全体のベストタイムでフェラーリ勢に次ぐ3番手をマークしたため、評価が分かれる結果となった。
トラブルがなければ、MCL33にはQ3に進出できるだけのポテンシャルはあるだろう。ただし、マシンの性能というのは信頼性も含めて初めて下されるもの。
アロンソは「トラブルもテストの一環」と意に介さなかったが、2回目のテストで起きたトラブルは、昨年のホンダ時代からと同じトラブルを引きずっているように思われる。もしそれが正しければ、じつは根は相当深く、マシンの根本の設計を変えない限り、レースでは完走もままならない可能性は高い。
開幕戦で、マクラーレンがどこまで改良したマシンを持ち込むのか。マクラーレンにとって、今年の開幕戦はシーズン全体を占う重要な一戦となりそうだ。