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前田敦子、深川麻衣、西野七瀬……元/現役アイドルたちがエンタメ界を席巻する理由

2018年03月21日 06:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 「アイドル戦国時代」という言葉が生まれて久しいが、いまやAKB48をはじめとするAKBグループおよびその関係者が、圧倒的なパフォーマンスでエンターテインメント界を席巻していることは疑いようがないだろう。封切られたばかりの『素敵なダイナマイトスキャンダル』で新たな魅力を開眼させた前田敦子が、これまでアイドル界を牽引してきた事実は誰もが知るところである。そして彼女をはじめとし、川栄李奈や篠田麻里子、深川麻衣に松井玲奈といった、アイドルを卒業して本格女優の道に進んでいく者たちが、さらに西野七瀬や北原里英ら現役アイドルが、映画やドラマで主要ポジションを担い続けている事実もまた同じく、誰もが知るところだ。


参考:【画像】前田敦子、川栄李奈、西野七瀬が活躍する様子


 今作での前田は、柄本佑演じる主人公・末井昭のその妻・牧子を演じ、描かれる舞台である昭和という時代設定に溶け込み、“肝の据わった女性像”を見事に体現。その口調や佇まいに“昭和の女房”的風格を漂わせながらも、主演の柄本と小気味よい掛け合いを見せた。今年は阿部寛主演のコメディ時代劇『のみとり侍』や、小泉今日子に沢尻エリカ、広瀬アリスに鈴木京香といったそうそうたる豪華女優陣が一堂に会した『食べる女』など、話題の出演作の公開が控えている。


 もちろん先述したように、アイドルから女優へと羽ばたいているのは前田だけではない。テレビドラマ『僕たちがやりました』(関西テレビ・フジテレビ系)や映画『亜人』といった話題作への出演が続く川栄は、今年は『嘘を愛する女』に続いて『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』も封切られたばかり。いずれの作品でもいわゆる恋愛の“2番手”を演じ、ヒロインの邪魔や、はたまた翻って応援する姿を見せてきた彼女だが、2018年公開予定の初主演作『恋のしずく』でついに本格ヒロインに。どんな恋模様を見せてくれるのか期待である。


 入江悠監督の骨太なオリジナル作品『ビジランテ』での篠田の姿も忘れがたい。元来彼女が持つオーラと鋭い目つきとが見事に作品世界に反映され、ステージ上で笑顔で手を振っていたアイドル時代の姿を、観客の頭の中から消し去ってしまうほどの存在感を見せつけたのだ。次なる映画作品での暴れる姿の登場が待ち遠しい存在だ。


 深川麻衣は映画初出演にして初主演した『パンとバスと2度目のハツコイ』で、その魅力を瑞々しくスクリーン上に開花させた。恋に揺れるひとりの女性の心を繊細に表現し、劇中での静かな日常の反復の中で、演じる市井ふみというキャラクターだからこその“激情”を見せたのだ。彼女はスクリーンが非常に良く似合う、フォトジェニーな女優である。


 『笑う招き猫』、『めがみさま』と昨年は2本もの主演作が公開された松井玲奈は、最終回を迎える月9ドラマ『海月姫』(フジテレビ系)で新境地を開拓。芳根京子ら“尼~ず”とともに怪演を見せ、これまでもイメージに囚われない女優活動で底知れぬポテンシャルを予感させてはいたが、ここで爆発させたと言っていいだろう。


 一方で現役でアイドルとして活動しながら女優業にも邁進しているメンバーも見逃せない。乃木坂46の中心メンバーとして今まさにアイドル街道をひた走る西野七瀬は、『電影少女~VIDEO GIRL AI 2018』(テレビ東京系)で新たなヒロイン像を確立させたが、昨年はメンバーらを率いて映画初主演した『あさひなぐ』で作品の顔として、そして所属する乃木坂46を背負って立つような奮闘を見せた。“ドジっ子”や“ちょっと鈍臭い”キャラクターにハマるのが抜群に上手い女優だ。


 同じくNGT48のひとりとして活躍し、間もなくアイドル界からの卒業を迎える北原里英は、『サニー/32』で主演を務めた。アイドルとして走ってきた彼女だからこそのポジションで、白石和彌監督と最高の化学反応を巻き起こした。これからの女優道への歩みを心から応援したいひとりである。


 また、前田と同じくAKBグループを牽引し、卒業後は映画『ロマンス』(2015)で主役を張った大島優子、『リピート~運命を変える10か月~』(日本テレビ系)など立て続けに連続ドラマに起用される島崎遥香。さらに乃木坂46からの卒業を控える生駒里奈は、『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』で『NARUTO』の衣装に身を包み愛らしい姿を披露した。


 今どの作品を見てもその存在を確認できるように思える、アイドルから女優へと羽ばたいていく彼女たち。アイドルとしてあらゆる角度から自身を表現する術を体得してきた経験が役に活き、今や欠かせない存在となっていることは間違いない。今後ますます彼女たちの存在は大きくなり、さらなる一時代を築いていくに違いない。


(折田侑駿)