2018年から新たに創設されるWTCR世界ツーリングカー・カップに、伝説のドライバーが復活参戦を果たす。イタリアのスーパーツーリズモやWTCCの前身となるETCCヨーロピアン・ツーリングカー選手権、そしてBTCCイギリス・ツーリングカー選手権など数々のシリーズでタイトル獲得経験を持つファブリツィオ・ジョバナルディが、アルファロメオ・ジュリエッタTCRでのWTCR参戦を発表した。
DTMドイツ・ツーリングカー選手権でアルファコルセが走らせたアルファロメオ155を筆頭に、欧州スーパーツーリング時代の156や、WTCC初年度にはNテクノロジーとともにS2000規定の156で戦うなど、アルファロメオとイタリアを象徴するドライバーとして知られてきたジョバナルディ。
現在51歳の伝説的ツーリングカードライバーは、先週開催されたイタリア・モンツァでのTCRプライベートテストで、ミュルザンヌ・レーシングのロメオ・フェラーリ製アルファロメオ・ジュリエッタTCRをドライブ。かつての僚友でありライバルでもあるガブリエル・タルキーニ、イバン・ミューラーらと相見えるべく、WTCRへの参戦を果たすこととなった。
ジョバナルディにとっても、世界格式クラスのシリーズにフル参戦するのはWTCCのNテクノロジー、JASモータースポーツ製ホンダ・アコードをドライブした2006年以来となり、2014年のBTCCフル参戦以降の3年間は一線を退き、ツーリングカーのドライブ自体からも遠ざかっていた。
「まずは2018年シーズンに向けて合意に達し、WTCRへの参戦を可能にしてくれたロメオ・フェラーリの面々にお礼を言いたい」と、復活への喜びを語ったジョバナルディ。
「ほんの数日前に、アルファロメオ・ジュリエッタTCRをドライブしたとき、この上ない喜びが湧き上がってきた。そしてマシンにとてもとても深い感銘を受けたんだ」
「私にとっては、世界的なステージにカムバックするのは数年ぶりで、ここ2、3年ほどはマシンのドライブからも遠ざかっていたけれど、レースへの情熱と勝利への渇望は今も衰えていない」
「モンツァではロメオ・フェラーリのプロジェクトに参画し、それに関わるすべての人々とともに、このアルファロメオ・ジュリエッタTCRで新たな旅を始めるチャンスを与えられたんだ」
これまでロメオ・フェラーリはこのアルファロメオ・ジュリエッタTCRを実際のTCRシリーズに投入して開発、熟成を進めてきており、2016年にはミケーラ・セルッティ、ペトル・フリンがインターナショナル・シリーズに参戦。17年もGE-Forceチームの名義で、ドゥサン・ボルコビッチ、ダビド・カヤイアがレースを戦い3勝を記録してきた。
そして今回のジョバナルディとの契約が、マシン開発と進化をさらに加速させることになるだろうと、ミュルザンヌ・レーシングも期待を寄せている。
「ファブリツィオを我々の重要なベンチャーに迎え入れることは、プログラムの本当に重要な要素だった」と語るのは、自身もマシンをドライブしてきたロメオ・フェラーリのオペレーション・マネージャー、ミケーラ・セルッティ。
「我々やミュルザンヌ・レーシングにとって、2018年は最高峰レベルのWTCRに参戦し、数多くのブランドやトップチームと戦う、大きな一歩を踏み出しました」
「モンツァのテストでファブリツィオから受け取った肯定的なフィードバックにより、当初は夢でしかなかった計画がこうして実現した。もちろん、我々はおとぎの国に住んで満足するわけではないし、WTCRほどハイレベルなシリーズで成功を収めるためには、100%のパフォーマンスが必要であることも理解しているわ」
2018年のWTCRシリーズは、3月末のバルセロナ公式テストを経て、4月8日のモロッコで幕を明ける。