2018年03月20日 10:12 弁護士ドットコム
NPO法人「若年層のアニメ制作者を応援する会」(AEYAC・京都市)は3月19日、経験年数3年以内のアニメーターを対象とした生活実態に関する調査報告書を発表した。調査に協力した44人のうち半数以上(52%)が、何らかのかたちで「家族から経済援助」を受けていることがわかった。報告書では「労働時間に対して給与(報酬)が少ない」という声も紹介されている。
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この調査は2017年9月、ウェブアンケート形式で実施した。44人(男性11人、女性33人)が協力した。これまでも、若手アニメーターが厳しい労働条件で働いていることが知られているが、AEYACによると、今回の調査は「生活状況という視点を導入して実態をより多角的に把握すること」を目的におこなったということだ。
報告書によると、44人のうち12人が「実家暮らし」で、「実家暮らし」でない32人のうち11人が実家から「仕送りを受けている」と回答した。全体の半数以上(約52%)が、何らかのかたちで、家族から経済的援助のもとで働いていることになる。報告書は、3年以内の収入水準が「独立して生計を立てるのが困難な低水準にとどまっている」とまとめている。
また、勤務形態について調べたところ、44人のうち35人が「個人事業主」(スタジオ所属)、5人が「契約社員」、3人が「個人事業主」(自宅作業)、1人が「正社員」だった。また、給与形態も「完全出来高」が19人、「固定給+出来高」が17人だったことから、報告書は「多くが、不安定な給与形態のもとで働いている」と結論づけている。
アンケート回答の直近三カ月の平均月給は「12万5001円~15万円」という回答が14人で最も多かった。次いで、「7万5001円~10万円」が13人だった。さらに自由記述には、働いていて辛いこととして、「稼ぎが少ない」「給与面、個人事業主としておきながら時間がしばられていること」「睡眠時間がどんどん削られること」などが挙げられている。
このような状況をどう改善していけばいいのか。AEYACは、弁護士ドットコムニュースに「アニメーターの厳しい労働環境の原因は複合的なもので、改善に対してはさまざまな観点から地道な取り組みが必要です。新たなビジネスモデルの模索による賃金原資の確保、住居などの生活基盤の提供などさまざまな方策が考えられます」とコメントした。
今回の報告書や活動内容などを掲載したAEYACの公式サイトはこちらから。 http://aeyac.org/
(弁護士ドットコムニュース)