2018年03月18日 10:22 弁護士ドットコム
学校法人「森友学園」への国有地売却に絡み財務省が決裁文書を改ざんした問題で、高松市の男性が3月16日、改ざん時に財務省理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官に対する虚偽公文書作成容疑などの告発状を東京地検に送ったことを朝日新聞などが報じている。
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告発状で男性は、改ざんが虚偽公文書作成、公文書偽造などの罪にあたると主張しているという。佐川氏の後任にあたる財務省の太田充理財局長は3月16日に国会で、佐川氏について「(改ざんを)知っていたと思う」と答弁した。
告発状の扱いはどうなるのか。また、佐川氏はどの罪に問われる可能性があるのか。元検事の落合洋司弁護士に聞いた。
ーー告発状はどのように扱われるのでしょうか
「告発状が提出された場合、犯罪事実が特定されているかなど備えるべき要件の確認を経て、受理すべきものは受理されるという流れになります」
ーー佐川氏はどのような罪に問われる可能性がありますか
「佐川氏が問われる可能性がある犯罪としては、(1)有印公文書偽造(変造)罪、(2)虚偽有印公文書作成罪、(3)公用文書等毀棄罪が考えられます。(1)と(2)が改ざん後の文書に関するもの、(3)が改ざん前の文書に関するものです。
刑法上の公文書に関する罪は、作成が権限ある者によらなければ公文書偽造(変造)罪、権限ある者によれば虚偽公文書作成罪が成立します」
ーー作成権限の有無によっても変わってくるのですね
「問題となっている文書の作成権限者を誰と見るかは今後の課題です。ただ通常、この種の文書には複数の決裁権者が決裁しているもので、地方公共団体の稟議書に関する高裁判例では、起案者だけでなく、各決裁者も作成名義人であるとの判断を示したものがあります。少なくとも一部の決裁者の承諾を得ないまま改ざんが行われていれば、有印公文書偽造(変造)罪の成立可能性が高まります。
一方、作成権限内で行われ内容虚偽であれば虚偽有印公文書作成罪が成立します。虚偽かどうかは改ざん前後の内容を実質的に見て、改ざん前の文書の決裁に当たっての重要部分が削除されていれば、積極的に嘘の記述を追加していなくても虚偽と評価されることになるでしょう。
改ざん前の文書について破棄したり隠した事実があれば、公用文書等毀棄罪(隠匿も毀棄の一種)が成立します。告発受理後は、そういった犯罪が念頭に置かれつつ捜査が行われることになるでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
落合 洋司(おちあい・ようじ)弁護士
1989年、検事に任官、東京地検公安部等に勤務し2000年退官・弁護士登録。IT企業勤務を経て現在に至る。
事務所名:泉岳寺前法律事務所
事務所URL:http://d.hatena.ne.jp/yjochi/