2018年03月17日 10:12 弁護士ドットコム
ふるさと納税をめぐり、かつて過熱した返礼品競争。総務省が2017年4月、寄付金額に対する返礼品の割合(還元率)を3割程度に抑えることなどを盛り込んだ通知を出し、競争は終息したかに見える。しかし、今でも高額返礼品は水面下で息を潜めるように生き続けており、還元率5割の商品券などが人気を博している。
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返礼品競争の激化については、その還元率の高さや、家電など、地域との関連性の低い商品があることなどを理由に、たびたび問題視され、2015年の総務省通知でも、換金性の高いものや、還元率の高い返礼品を送らないように求めてきた。
ただ、通知には法的拘束力がないため、自治体によっては、かなり高い還元率の商品券を送る自治体もあった。
例えば、千葉県勝浦市の商品券「かつうら七福感謝券」は、7割という還元率の高さから人気となり、総務省や千葉県から指摘を受け、2017年2月28日までの寄付で終了となった。寄付の終了が迫るにつれ、駆け込み活用による「お祭り」状態となり、当時、勝浦市には、東京などから多くの人が買い物に訪れ、高額家電などの商品が飛ぶように売れていた。
2017年4月の総務省通知では、還元率を3割にすることが明記され、返礼品競争も終息したかに見えたが、一部のふるさと納税専門サイトを通じて、各自治体の動向をウォッチしてみると、今でも高還元率の返礼品がゲリラ的に登場している。
たとえば、ある関東地方の自治体では、今年3月21日までの期間限定で、旅行ギフトカードを返礼品として用意している。その自治体に10万円を寄付すれば、5万円分をもらえる。さらに、同じ自治体では、11万円の寄付に対する返礼品として、ロボット掃除機ルンバ690も用意しており、販売価格と比較すると、ほぼ5割程度の還元率だ。
ほかにも以前、期間限定や数量限定の形で、各地の自治体がギフトカードなど5割を超える返礼品を提供していたとの情報がネットで流れている。
中には、返礼品として地域の商品券を用意しているものの、その還元率を記載していない自治体も存在する。ふるさと納税専門サイトの該当ページには、電話で詳細を自治体に問い合わせるように書いてあり、実際に電話してみると、「寄付額の半額になります」と明かした。なるべく「5割還元」が表に出ないように努めているように見える。
これらの状況を総務省はどうとらえているのか。担当者は「法的拘束力はないが、通知を受け止めて欲しいと要請してきた。多くの自治体には守ってもらっている」と話す。一部で「掟破り」が起きていることについては、「網羅的にチェックしているわけではないので、報道を見て知るものもある。一部の自治体だけではないか」とみている。
税収アップのために過熱した返礼品競争。1年前に終息してからも、一部の自治体が高額返礼品をゲリラ的に活用して寄付を募る姿からは、それだけ自治体が税収の確保に四苦八苦している様子がうかがえる。
(弁護士ドットコムニュース)