F1バルセロナ合同テスト2回目が終了し、マシンの速さそして信頼性が見えてきた。今回は全チームの戦闘力を分析し10回にわたり連載していく。第7回目はテストで総合5番手につける速さをみせたルノーだ。
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●ルノー(チーム戦力:78点)
ルノーが好調だ。合同テスト初日、最初にステアリングを握ったニコ・ヒュルケンベルグが、メルセデス、フェラーリ、レッドブルと同じ1分20秒台をマーク。2日目はカルロスサインツJr.が、この日ただ一人ハイパーソフトを履いて3番手に食い込んだストフェル・バンドーンを除いて、ライバル勢と同じソフトタイヤを装着してトップ3に次ぐポジションをキープした。
2回目のテストでは、最終日にギヤボックスがトラブルに見舞われ、大幅な中断を余儀なくされたが、それでもセッション終了間際に出て行ったサインツがハイパーソフトを履いて8日間で5番目に速いベストタイムをマーク。ポテンシャルを感じられる走りでテストを締めくくった。
じつはルノーの速さは、今年のテストに始まったことではない。昨年の後半からルノーは次々とアップデートパーツを投入し、第2集団の先頭を走ることも珍しくなかった。最終戦のアブダビGPではコンストラクターズ選手権4位のフォース・インディア、5位のウイリアムズのマシンを抑えて、トップ3チームに続く、6位でフィニッシュしていた。
ルノーの速さはマシンのアップデートだけが理由ではなかった。昨年ルノーはコンストラクターズポイントを年間で57点獲得したが、そのうちの75%となる43点をヒュルケンベルグがひとりで稼いだ。残る14点のうち6点は移籍して残り4戦を戦ったサインツによるもので、日本GPまでレギュラードライバーだったジョリオン・パーマーの入賞はわずか1回。8点にとどまった。
フォース・インディアのあるエンジニアは「昨年、われわれがルノーとウイリアムズを上回ることができたのは、われわれが2人のドライバーでシーズンを戦っていたのに対して、他の2チームはどちらも1人(ウイリアムズはフェリペ・マッサ、ルノーはヒュルケンベルグ)だけで戦っていたから」と語り、サインツが加入した2018年のルノーを非常に警戒していた。
さらにワークスチームのルノーには、フォース・インディア以上の予算があり、シーズンを通した開発力も期待できる。新車発表後の最初のアップデートを、フォース・インディアは開幕戦に投入する予定だが、ルノーは合同テスト2回目にすでに新しいフロントウイングを投入。
気になるのは、ロングランのペースが一発のタイムに比べて見劣りすること。ルノーと言えば、合同テストでエキゾーストのレイアウト変更し、排気ガスをリヤウイングへ導くことでダウンフォースの増加を狙う『ブロウン・リヤウイング』を試していたことが明らかになっている。
予選モードでは効果があるものの、レースになると燃費の問題からブロウン・リヤウイングを機能させることができず、ペースが落ちるのかもしれない。
ただし、ブロウン・リヤウイングの開発は始まったばかり。しかも、ルノーはワークスチーム。どのように排気を調整するのが、予選とレースをバランスよく戦ううえでベストなのか自分たちで調整できるメリットがある。昨年の6位を上回るだけの体制は整っている。