5月4~6日のDTMドイツツーリングカー選手権の開幕戦に向け、アウディとBMWよりもひと足先に、2018年シーズン限りでのシリーズ撤退を表明しているメルセデスAMGが、本拠地のシュトゥットガルトにあるメルセデスベンツ・ミュージアムで、記者発表会を行った。
2018年でメルセデスAMGのモータースポーツ活動が記念すべき30周年目を迎えるが、それと同時にメルセデスAMGの活動とともに歩み、輝かしい歴史を刻んだDTMが撤退する最後の年となることから、DTM撤退報道はレースや自動車業界のみならず、根強いメルセデスファンにも強い衝撃を与えた。
DTMを通じては、190Eエボをはじめとするメルセデスを代表する数々の名車を世に知らしめ、ストリートカーの販売においてもブランディングの確立とイメージ戦略にもDTMの活動が大いに貢献していた。
記者発表会は、そんなメルセデスが歩んだ30年の歴史を刻んだDTMのショートフィルムが流され、懐かしさに会場から思わず声が上がったり、ハプニング映像に笑いがおきたりと和やかな雰囲気で幕を開けた。
マネージング・ディレクターを務めるトト・ウォルフは「メルセデスのモータースポーツ活動を支え、成長していけたのはDTMのおかげ」としつつも、まさかのDTM撤退という決断は苦渋の選択だったと語っている。
「30年もの間、輝かしい勝利を手にした時だけでなく、苦しい低迷期も幾度となく経験し、それによっていまのメルセデスがある。最後を特別なシーズンとなるよう、AMGが一丸となって、全員が全身全霊で戦う決意だ」とウォルフ。
「今季はテクニカルレギュレーションが変更となったこともあり、メルセデス陣営にとってもいい条件になったのではないかと考えているし、十分に上位を独占できるようなマシンとドライバーラインアップだと思う」とコメントをした。
また、HWAチーム代表のウルリッヒ・フリッツは「アウディ、BMWも含め、3メーカーともに今季用のレギュレーションに向けて開発に勤しみ、それをやっと実車でテストをできたのが3月1~3日のバレルンガだ。この最初の一歩として新しいマシンとパーツがどれだけ反応するのか、ポテンシャルを発揮するのかというところをチェックする目的だった」と語った。
「初日はゲイリー・パフェットが100ラップ以上を走り込み、テストでは好感触を得たと思うが、現実的にみると今の段階でマシンのコンディションを判断をするのはまだ早過ぎると思う。バレンルガでは雪や雨、強風という、ほとんどドライコンディションがない悪天候でのテストだったので、思ったようなデータ取りができなかったこともあり、4月9~12日に行われるホッケンハイムで行われる最終テストが非常に重要となる」
「今季のDTMマシンはさらに共通化されたパーツが増えた。そのなかでも特にエアロパーツやデザインの部分が統一化され、3メーカーがそれぞれ競って開発した外観的な個性という部分はほぼなくなった。したがって、昨年よりもさらに全ドライバーにとって条件が統一化された」
「そのなかでよりマシンを理解し、ドライバーの体の一部となるようなセットアップを決め、ファンにバトルを魅せられるよう、残り少ない開幕までの時間で努力をしたい。もちろん、DTM最後の年となる今季の目標はタイトル獲得をして、笑顔でDTMの活動を終えられることを願っている」