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『となかぞ』あまりにも残酷な展開が話題 深田恭子、迫真の涙を見せる

2018年03月16日 18:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 コーポラティブハウスと呼ばれる集合住宅に住む4家庭を描いたドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。ほか3家庭は徐々に幸せをつかみ、前進する姿を見せているのに対し、3月16日に放送された第9話で五十嵐奈々(深田恭子)&大器(松山ケンイチ)夫婦に突きつけられた展開はあまりにも残酷だった。


参考:『隣の家族は青く見える』第9話


 第8話で体外受精に成功し、ようやく赤ちゃんを授かることができた五十嵐夫婦。何度も“リセット”(不妊治療中に生理が来ること)を繰り返し、精神的にも金銭的にも大きな負担がかかっていた2人だったが、赤ちゃんの心音を確認し、妊娠したことを実感する。


 奈々は母子手帳を手に入れ、大器は会社からおもちゃを大量に持って帰り、赤ちゃんを迎える準備は着々に進んでいった。「元気に生まれてきたらそれでいい」と願いながら2人で植えたオリーブ。まだ見ぬわが子への思いを込めた物たちは、夫婦の期待値と比例するように増えていったが、残念なことに奈々は流産してしまう。


 不妊治療は、妊(みごも)るという漢字が使われているが、妊娠から産むまでが長いことが第9話では繊細に描かれていた。不妊症は聞き慣れているが、妊娠するけれど流産を繰り返す“不育症”に悩む夫婦も存在する。奈々が務めるダイビングスクールの上司・倉持充(寿大聡)も言っていたが、流産は何度も繰り返す可能性があるもので、妊娠して出産し、子供が無事に育つというのは、いくつもの奇跡が重なった結果のように思えた。


 最終回目前の第9話で流産するという展開は、本作の放送が始まって3か月間五十嵐夫妻を見守ってきた視聴者の精神的にもつらいものがあった。「8話分頑張ってきたのに、どうして……」と絶望したが、ストーリー上では数年間、五十嵐夫妻は不妊治療に挑んでいる上、現実には何年間も挑戦し続けているのに授からない人々がおり、経験者からは「見ていられない」との声も上げられていた。


 特に奈々がカバンにつけたマタニティマークを一心不乱に引きちぎるシーンが印象的で、“ただのキーホルダー”が彼女の精神をずたずたに引き裂いていくのが憎かった。また、コーポラティブハウスを設計したときからあった、五十嵐家のすべり台さえも、第9話ではなんだか皮肉めいた物に見えてしまう。4家庭の中でも一番温厚で人柄の良い五十嵐夫妻に、2人が納得する形の幸せは訪れるのだろうか。(阿部桜子)