F1バルセロナ合同テスト2回目が終了し、マシンの速さそして信頼性が見えてきた。今回は全チームの戦闘力を分析し10回にわたり連載していく。第6回目はテストで3番目のマイレージを消化したウイリアムズだ。
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●ウイリアムズ(チーム戦力:65点)
メルセデスの4841.2km、フェラーリの4324.5kmに次いで、合同テストで3番目に長い3812.4kmのマイレージを消化したのがウイリアムズだった。
ウイリアムズが今年のテストで走りこみを続けていたのは、新車FW41が昨年のマシンとは大きく異なるコンセプトでデザインされていたからだと考えられる。FW41は昨年、メルセデスから移籍してきたパディ・ロウ(チーフテクニカルオフィサー)にとってウイリアムズで開発を指揮した最初の作品である。
メルセデスとフォース・インディアが、新車のコンセプトを大きく変更しなかったのに対して、ウイリアムズが変えてきたのは、ウイリアムズはギヤボックスを自前でデザイン・製作しているからだ。
昨年のマシンで最もホイールベースが長かったのはメルセデスで3760mm。次がフォース・インディアの3691mmだった。これに対して、ウイリアムズはメルセデス・ユーザーでありながら、ホイールベースは10チーム最も短い3545mm。これは、ウイリアムズが低速コーナーで抱えていた弱点を補うための彼らなりのコンセプトだったと考えられる。
その証拠にレーキ角も昨年メルセデスは10チームの中で最も小さい0.9度だったのに対して、ウイリアムズは1.52度と5番目に角度の大きいチームで、メルセデスと大きく異なるコンセプトで設計されていた。
ところが、それでもウイリアムズは低速エリアで苦戦。そこにメルセデスからパディ・ロウがやってきた。2018年のホイールベースとレーキ角に関するデータがそろっていないため、ウイリアムズがホイールベースとレーキ角を見直したかどうかは名言できないが、少なくとも空力に関しては昨年から大きく異なっている。
そのため、ウイリアムズは今回のテストでは新車に関するさまざまなデータ取りを行わなければならなかった。風洞実験で得られたデータのコリレーション(相関関係)分析。車高の変化によるダウンフォース量の変化。セットアップ変更によるハンドリングの変化。やらなければならないプログラムは多岐に渡った。
しかし、1回目のテストは天候に恵まれなかった。2回目のテストで、ほかのドライバーがハイパーソフトなど軟らかめのコンパウンドを次々と試していく中、ランス・ストロールとセルゲイ・シロトキンの2人のドライバーはひたからミディアムとソフトでデータ取りに専念していたのは、そういった背景があったと思われる。
したがって、ウイリアムズもテストでのベストタイムは実力ではない。だが、フォース・インディアと違って、マシンのコンセプトを転換しているため、FW41に確実にポテンシャルがあるとは言い切れない部分もある。
さらにウイリアムズのレギュラードライバーには新車を進化させていくだけの経験がないことも不安材料。ロバート・クビカがリザーブドライバーとして残ったのは、そのためだろう。
開幕へ向けての準備不足は否めず、前半戦は苦戦するのは必至だ。