2018年03月16日 10:42 弁護士ドットコム
「確定申告ってなんだか面倒だ」「会社で年末調整してるから大丈夫」というサラリーマンなどの給与所得者は、実は税金の還付を受けるチャンスをみすみす逃しているかもしれない。
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2018年の確定申告期間は3月15日に終わった。だが国税庁によると、払い過ぎた税金を取り戻す「還付申告」は過去5年にさかのぼってできる。具体的には、確定申告期間とは関係なく、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができる。たとえばこれまでに申告をしていなかった場合、2013年分については、2018年12月31日まで申告が可能だ。
年末調整で処理できない控除のひとつに「医療費控除」があるが、これを例に考えたい。
医療費控除は、病院などで診察を受け、もらった領収書をもとに、確定申告を翌年すれば、所得控除を受けられるというもの。つまり、結果的に払う所得税の額が減るメリットがある。(一般的に医療費が合計10万円以上の場合に使えるが、総所得金額等が200万円未満なら緩和措置あり)
医療費控除の金額は次の式で出すことができる。(最高200万円)
<実際に支払った医療費の合計額>−<保険金などで補填される額>−10万円
(保険金などで補填される額に、健康保険から支給される出産育児一時金などが含まれる)
今回は、出産した女性(会社員、課税所得500万円)を想定する。
国税庁HPでは「出産に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断」として、考え方を示している。それによると、妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、通院費用は控除の対象になる。一方、入院に際して購入した洗面具など身の回り品は対象外だという。
この女性の場合、2016年7月の出産に際して、会社の健康保険からもらった支援を除けば、自らの負担は40万円だった。手続きが煩雑そうに感じたことを理由に、2017年には申告をせず、2018年に申告するかどうか検討している。
上記の式にあてはめると40万円-10万円=30万円となり、30万円の控除が受けられる。課税所得が500万円だと適用される所得税率は20%で、復興特別所得税を含めると所得税の還付は30万円×20.42%=約6.1万円、また住民税は10%のため30万円×10%=3万円となり、合計の還付額は約9.1万円となる。申告せずにいるのはもったいない額だろう。
【監修】
田邊美佳(たなべ・みか)税理士
オネスタ税務会計事務所所長。公認会計士・税理士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。相続税申告、生前対策業務をメインに行っており、国際相続案件にも対応可能。
事務所名 : オネスタ税務会計事務所
事務所URL:http://www.onesta-tax.com/
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