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Wanna One、JBJ、RAINZ…“プデュ勢”が注目集める理由は? 『PRODUCE 101』生んだ新潮流

2018年03月16日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 年間を通して数多くの新人グループがデビューをする韓国のK-POPアイドルたち。生き残りをかけたサバイバルは、いつも熾烈だ。そんな新人グループの中で、本国で社会現象を起こしチャートを賑わせているのが、2017年に「Energetic」でデビューをしたWanna One(ワナワン)を中心とした『PRODUCE 101(プロデュースワンオーワン)』出身の“プデュ勢”と呼ばれているグループ達ではないだろうか。特にボーイズグループの活躍は目覚ましい。


 日本にも続々と進出し活動の場を広げている“プデュ勢”だが、なぜ彼らが人気があるのか? 今回はその謎を考えてみたいと思う。


■101人の練習生がサバイバルする『PRODUCE 101』とは


 『PRODUCE 101』は、韓国のMnetで放映されたサバイバルオーディション番組だ。様々な事務所などから101人の練習生(デビュー予備群)を集めて、ダンス、歌などの課題を与え、彼らの奮闘の過程を放映していく。視聴者の投票を元に最終11人になるまでサバイバルを行い、期間限定のユニットで晴れてデビューができるという仕組みになっている。


 現時点では2016年に「シーズン1」、2017年に「シーズン2」までが放送され、「シーズン1」では女性練習生101人が集まり、最後まで残った11人で、I.O.I(アイオーアイ)が結成された。


 その後「シーズン2」では、同様に男性練習生が101人が集まりサバイバルを繰り広げ、残った11人でWanna Oneが結成され、今やその人気は飛ぶ鳥を落とす勢いだ。なお、Wanna Oneの活動期間は2018年12月までとなっている。


 101人の練習生の中には日本人も参加しており、シーズン1では、有吉りさ、丹羽紫央里の2人、シーズン2では高田健太が参加した。特に、高田健太は最終順位24位という好成績を残した。


 この番組に参加した練習生は脱落後も知名度は上がり、新しいグループを結成してデビューするなど、その後の活躍に結びつけることができる。また、似たような内容の後続番組が多く制作されるなど、ちょっとした社会現象を起こしている。


■“アイドルを育てられる”という楽しさ


 『PRODUCE 101』の人気の秘密はなんといっても自分たちが未来のアイドルを見つけて、育てられるというところだろう。それは“国民プロデューサー”と言われる視聴者が、番組を見ながら自分の気に入った練習生に投票ができるシステムになっているからだ。自分の1票が、番組に参加している練習生たちの人生を左右することにもなるのだ。


 また、成長過程を見ることができるというところもポイントだろう。今までの韓国アイドルの場合、各事務所が何年もかけて育ててきた練習生たちが“ほぼ完成された形”でデビューをしてきた。そのため、ファンたちはよほどのことがない限り、デビューに至るまでの彼らの成長を“見る”ことはできなかった。しかし、『PRODUCE 101』では、まだデビューの決まっていない(一部はすでにデビューをしている場合もあるが)各事務所の練習生たちが、デビューをかけて成長していく過程をテレビを通して見ることができるのだ。


 つまり、テレビで見守ってきた練習生に“自分の清き1票”を投票するという行為により、“自分たちがアイドルを育てている”という気持ちになれるのだ。シーズン1の女性練習生よりも、シーズン2の男性練習生のほうが盛り上がったのは、女性ファンたちの「育てたい」という気持ちをくすぐったからかもしれない。


■番組で磨かれてきた完成度の高さ


 前述したとおり、『PRODUCE 101』に参加するメンバーのほとんどが事務所で何年も厳しい練習生活をしてきた練習生が多い(中には事務所に所属せずに「自主練習生」として生活をしてきた練習生たちもいるが、それはほんの一部だ)。


 そこそこ実力のある者たちが集まっているので、最初からレベルは高いのだが、番組内で自分の順位を上げるために、視聴者へのアピールや、カメラへのアイコンタクト、様々なジャンルの音楽への解釈やダンスなどの表現方法を積極的に身に着けていく。数カ月の番組放映の中で“見られる”という場数をこなすことで、そういった場面に慣れ、物おじをしなくなることは間違いないだろう。


 そのため、番組が終わり正式にデビューするころには、アイドルとしてかなり完成されていることが多い。それが“プデュ勢”の強みのひとつでもある。


■ファンの夢が形になったJBJとRAINZ


 数多く生まれた『PRODUCE 101』出身グループの中でも、JBJ(ジェイビージェイ)とRAINZ(レインズ)はファンが作り上げたグループだ。


 JBJは事務所がバラバラなメンバー6人が集まったグループで、シーズン2に参加した唯一の日本人、高田健太が所属している。結成のきっかけは、『PRODUCE 101』を見ていたファンたちが、参加していた練習生の中から「こんなグループがあったらいいのに」と勝手に思い描いたことから始まっている。ファンの妄想で集められたメンバーたちで実際にJBJというグループが結成され、そしてデビューを果たしたのだ。


 彼らのグループ名は、“本当に望ましい形”といった意味を持つJust Be Joyfulの略で、デビュー時のキャッチコピーは“Come True(実現する)”だった。それはまさにファンが望んだ理想の形が目の前に現れた、夢のようなグループと言って間違いない。


 RAINZ もJBJ同様、ファンが「こんなグループがあったらいいのに」と望んで生まれたグループだ。グループ名の由来は、“雨(rain)”からきており、メンバーがたまたま会っていた時にSNSにアップしていた写真が「雨ばかりだったから」とファンたちが勝手に名付けた。集まった7人のメンバーたちは、それぞれが違う事務所に所属しているという点でも、JBJと同じだ。


 事務所がバラバラなメンバーが集まりグループが結成されたということも、そして「ファンの夢が形になった」というのも、この『PRODUCE 101』から生まれた新しい現象の一つかもしれない。


■『PRODUCE 101』でつかんだ再起


 『PRODUCE 101』では、すでにデビューして数年経ったグループのメンバーが参加し、人気を得て再起したことでも話題になった。とくに、日本でも精力的に活躍していたNU’EST(ニューイスト)がその代表例だろう。現在はWanna Oneで活動するファン・ミンヒョンを除いたメンバー4人でNU’EST Wという名前で活動をしている。


 NU’ESTは韓国で2012年にデビューをし、日本では2014年にデビューをした5人組のボーイズグループだ。デビューから数年経っているが、残念ながら人気は振るわなかった。その中で、一度NU’ESTとしての活動を休止し、メンバー4人が練習生になり『PRODUCE 101』に参加することになったのだ。現役アイドルグループながら参加することは、彼らにとってどんな気持ちだったのかは計り知れないが、番組に参加したメンバー全員がファイナリストに残るという大活躍をする。彼らの目的は全員で最終11人に残ることだったが、結果はミンヒョンだけが選ばれ、Wanna Oneとして活動することになった。


 しかし、番組に出演したことでNU’ESTという名前は韓国で一気に広まり、彼らが過去に出した音源がチャートを駆け上がるという現象まで起きた。練習生に戻り番組に参加したことが、彼らを再起に導いたのだ。


■“2匹目のどじょう”は生まれるのか?


 最近では『The Unit(ザ・ユニット)』と『MIX NINE(ミックス・ナイン)』いう2本のサバイバルオーディション番組が制作された。どちらの番組も「まだ成功をしていない」と思われるアイドルグループや、練習生たちを集め、サバイバルを繰り広げ、最終的に残ったメンバーで、期間限定ユニットを組むという流れになっていた。特に『The Unit』の方は「アイドル再起プロジェクト」と銘打っており、おそらく『PRODUCE 101』におけるNU’ESTの成功例からヒントを得たものと思われる。


 他にも、『PRODUCE 101』の成功を見て、中国でも公式ではないが全くそっくりな番組が作られ、話題になっている。また本家の方は、今年から新しいシーズンとして『PRODUCE 48』が開始されることになっている。その名の通り、日本のAKB48とタッグを組んだ番組になるようだが、詳細は現時点では明かされていない。


 果たして、今後のK-POP界には『PRODUCE 101』の“2匹目のどじょう”が生まれるのか……、またはそれを超えたブームが新たに生まれるのかが気になるところだ。(文=西門香央里)