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パタハラ訴えたら解雇通知、原告男性側「許されない」と反発…三菱UFJモルスタ証券

2018年03月15日 14:32  弁護士ドットコム

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育休から復帰後に業務から不当に外され、うつ病を発症し休職に追い込まれたとして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券幹部のカナダ出身男性が同社を相手取り、東京地裁に慰謝料などを求める訴えを起こしている。この問題に絡み、同社が男性に4月8日付で解雇すると通知したことがわかった。男性の代理人を務める今泉義竜弁護士が明らかにした。


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男性はグレン・ウッド氏。同社で外資系機関投資家向けのセールスチームを統括する特命部長として勤務していた。裁判は2月7日に第1回期日があったばかりで、まだ裁判は進行中にもかかわらず、解雇予告が通知された。原告側は「本件解雇には何ら正当性がないと考えている。引き続き、訴訟において事実を明らかにしていきたい」としている。


●会社側「事実に反する発言繰り返した」

同社は、就業規程を解雇の根拠にしている。具体的には、ウッド氏が会見を開くなどして同社がハラスメントをしたかのような事実に反する発言を繰り返したこと、それにより上司の人格を傷つけ職場秩序を損なったこと、機密情報である海外顧客の収益一覧表を裁判所に提出したこと、などが就業規程に基づく解雇事由に当たるという。


同社広報は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「ウッド氏からの申し出に対して、社内手続きに従って誠実に対応してきた。当社が育児休業の取得を妨害したという主張やそれに関してハラスメントを行なったという主張は、当社として事実に反すると認識している」とコメントした。解雇予告通知については社内人事に関することとして回答を控えた。


●原告側「解雇には正当性ない」

一方、原告側は、ウッド氏は自ら経験した事実を記憶に基づき発言しており、それを事実に反すると決めつけた解雇理由には合理性はないと反論。今泉弁護士は「ハラスメントを訴えた労働者に対し、事実が確認できないから解雇するなどということはおよそ許されない。そのようなことが許されるのであれば、労働者はハラスメントを訴えることはできなくなる」と指摘した。


また、同社が機密資料と呼ぶものはウッド氏が関わった案件の売上実績に関するもので、同社に対する貢献度を立証するために裁判資料として提出したものであり、「自己の権利救済のために必要な行為」だと主張している。


(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama


(弁護士ドットコムニュース)