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竜星涼はなぜ怪しく見えるのか? 視聴者を惑わす『アンナチュラル』木林役の深すぎる沼

2018年03月15日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 緻密なストーリー展開が好評の『アンナチュラル』(TBS系)で描かれるのは、石原さとみ演じるミコトをはじめ魅力的なキャラクターばかり。そんな個性豊かな登場人物たちの中で、特異な存在感を放っているのが葬儀屋・木林南雲を演じる竜星涼だ。


参考:【画像】『アンナチュラル』最終話で怪しい表情をする竜星涼


 2009年にスカウトをきっかけに芸能界入りした竜星は、ドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ系)で役者デビュー。2013年に『獣電戦隊キョウリュウジャー』(テレビ朝日系)キョウリュウレッド/桐生ダイゴ役でドラマ初主演を務めると、『GTO』(フジテレビ系)、『ごめんね青春!』(TBS系)での生徒役を経て、2015年には『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ×Hulu)でサイバーテロリスト役に抜擢。翌年には主演映画『シマウマ』で手段を厭わない最凶の回収屋を演じ、早々に“ヒーロー”イメージから脱却することに成功した。


 180cmを優に超える高身長と抜群のスタイルで、2016年には『Yohji Yamamoto HOMME 2016-2017AW Paris Collection』でパリコレデビュー。しかも、言葉もわからないまま単身渡仏し、現地で参加したオーディションで出演権を得たというから、その行動力に驚かされてしまう。


 モデルとしても活躍する一方、昨年公開された映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』では、ヒロイン・広瀬すずの友人として、背伸びする恋に揺れながら、熱い友情を貫き通す男子高生を好演。さらに、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』では、主人公・みねこ(有村架純)に思いを寄せる誠実な警察官を爽やかに演じ、幅広い年齢層から支持されることになった。


 そんな竜星が『アンナチュラル』で演じている木林南雲は、次回最終話だというのにあまりに謎が多い。特徴的な跳ね上げサングラスを身につけ、パカパカとレンズを上げ下げする姿が印象的だが、確実な情報といえば「フォレスト葬儀社で働いていること」「独身であること」「中堂(井浦新)に協力し、口内に“赤い金魚”の印がある遺体を探していること」、その程度だ。


 第1話の初登場シーンでは、UDIラボに遺体を運び入れると「死後10日。保存状態がよろしくなく、かなり熟しておられます」と、遺体の状態をひょうひょうと説明。葬儀社というよりはクセの強い執事のようなしゃべり口調で、早くも「この葬儀屋は何者!?」と心を掴まれてしまった。


 普段は、異次元からフッと舞い降りた存在のようにも思える木林だが、第5話で、担当していた葬儀の棺から遺体が盗まれていることに気付くと、血相を変えてUDIラボへと急行し「あぁ~それ、うちのご遺体ですぅ」と嘆く、人間味溢れる一面を披露。かと思えば、第6話では、操縦士に心停止の危険が迫る飛行機を抑止するため、ミコトと東海林(市川実日子)を乗せた車で暴走。ミコトに「(飛行機に)近づけますか?」と問われると、「善処します」と口角を上げたままアクセル全開でフェンスも突破する破天荒ぶり。やはり、その本性は謎である。


 謎が多いというのは、必然的にこちらに発想の余地を与えてくれるということ。そして木林は、その余地がとてつもなく広く、視聴者の想像力を激しくかき立てる。“赤い金魚”の犯人はビル火災唯一の生存者・高瀬(尾上寛之)と明らかになったが、まだまだ「実は木林が絡んでいるのでは?」と予想する声も多く、つかみ所のない木林の謎は深まるばかり。それと同時に、彼の深すぎる沼にのめり込んでしまう視聴者も多いようだ。


 ちなみに『アンナチュラル』では黒いスーツを身に纏っている竜星だが、現在配信中のAmazonプライム・ビデオ『紺田照の合法レシピ』では、真っ白の学ラン姿で、ときには高校生、ときには暴力団の新人組員、ときには料理人として木林とは全く異なる演技を見せている。


 “竜星涼”と聞いて抱くイメージは本当に人それぞれで、清々しい青年役からアウトローな役柄まで幅広い。木林という役どころでより確かなモノとなった、作品に自在に溶け込む竜星の仕事ぶりは、さながら魔術師のよう。そしてそれは、今後竜星が役者として歩みを進める中で、大きな強みとなることは間違いないだろう。


(nakamura omame)