オフシーズンテストが終了し、あとは3月23~25日に開幕するF1オーストラリアGPを待つのみとなった。順調にテスト項目を消化したチームもあればトラブルで走れなかったチームもあり、マシンの仕上がり具合が気になるところ。全6回に分けて各チームの開幕戦の展望を紹介。第2回目は王者メルセデスだ。
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王者は、その手の内を見せず。2018年F1開幕前の、新車を使ったすべてのオフシーズンテストが完了した。バルセロナを舞台としたテストは2回の日程に分かれて行なわれ、4日間ずつの計8日間。
そのなかでメルセデスは、降雪のあった初回テスト3日目の走行を見送る。テクニカルディレクターのジェームス・アリソン曰く「プログラムを7日間に組み直した」とのことで、開発スケジュールに影響はなかった模様だが、新車W09が期間中のタイムシートを大きく賑わすことはなかった。
7日間の走行中、W09が同日トップタイムをマークしたのは初回最終日の1回のみ。しかもルイス・ハミルトンの1分19秒333というタイムは、大きくコンディションが改善した2回目テストのベスト、フェラーリのセバスチャン・ベッテルによる1分17秒182より2秒以上も遅い。
その2回目テストでメルセデスが刻んだ最速は、日程2日目のハミルトン1分18秒400。先述ベッテルのレコードからは、約1.2秒の遅れをとる。
しかしながら、これをもって王者危機説を唱えるのは、大いなる間違いでしかない。彼らメルセデスにとっては、これがいつもの開幕前ルーティンなのだ。
テストでの、一発のタイムなどに意味はない。シーズン中のレースタイヤとしての登場機会が多そうな硬め寄りのコンパウンドを選び、黙々とロングランを重ねる。
そうやってパワーユニットを含めた新車の信頼性を確認しつつ、すでにレース実戦をにらんだセットアップ作業を行なう。もっとも重要となりそうなタイヤに特化し、新車を仕上げていくのだ。
選手権2冠制覇を継続させてきた過去4年も、まさしく同じやり方。一発を狙ったパフォーマンスランは彼らにとって、新車テストの優先課題ではない。
フェラーリがテスト終盤で積極的にピレリ新開発のもっとも軟らかいコンパウンド『ハイパーソフト』でのアタックを繰り返していたのに対し、メルセデスはほぼそれに目を向けることはなかった。
ハミルトンは新車W09を前年型の「正常進化」だと評する。なるほど空力的な外観に前年型からのさほどの変更はなく、セオリーのサイドポンツーンのコンパクト化が図られた程度だ。開幕時には新アイテムの投入があるにせよ、設計思想にブレはない。
一発の速さは未知数な今季メルセデスだが、この18年もタイトル本命であることは2回目テストの3日目データで示された。
この日は昨季コンストラクターズ選手権の上位3チーム、メルセデス、フェラーリ、レッドブルがそれぞれにレースシミュレーションに取り組んだのだが、バルテリ・ボッタスの刻んだ平均ペースはライバルたちを確実に上回った。
選手権5連覇のかかるシーズンに向け、王者は磐石の態勢を整える。