ピレリは現在、2週にわたって行なわれたF1プレシーズンテストの結果分析に追われている。各コンパウンドが2018年型マシンのパフォーマンスに与える影響を確認しようとしているのだ。
ピレリのカーレーシング部門責任者であるマリオ・イゾラは、今回のテストで各タイヤ間の相違ないし差分について、明確な認識を持つことができていると話す。
「今シーズンの現段階で、各コンパウンド間のパフォーマンスの差異を良く理解することができた」とイゾラ。
ピレリは今季、F1用タイヤレンジに新たにハイパーソフトを導入した。これについては「ウルトラソフトとハイパーソフトの間には約0.7秒の差分があった。これは我々の予想と一致している」とイゾラは説明している。
「先週の第1回テストは悪天候で不安定なスタートとなったが、今週の第2回は典型的なレースコンディションに恵まれて、結果的には非常に実り多いプレシーズンテストになったと言える。我々の期待どおりだった」
荒れ模様のコンディションに終わった第1回テストからでさえ、有用なデータが得られたという。
「各チームがウエットタイヤの性能を評価し、その使いどころを見極めることができた」
イゾラは、各タイヤのパフォーマンス比較は「チームごとの平均値データ」に基づいていると話す。またハイパーソフトについては、2017年最終戦後のアブダビテストの結果を基準として、それぞれ評価を行なったと述べた。
セバスチャン・ベッテルは、3月8日にハイパーソフトで非公式ながらサーキットのトラックレコードを更新している。彼が出した1分17秒182のタイムは、カタルニア・サーキットにおける最速ラップとなった。
2018年は、ミディアムタイヤを除くすべてのコンパウンドで材料の配合が変更された。ピレリは、新しいソフトタイヤからミディアムまでの間には0.8秒のパフォーマンス差があると推定している。
タイヤレンジのもう一極に位置するハードタイヤのパフォーマンスについては、そこまで明確な結果が得られていない。イゾラによれば、現時点で評価ができるだけの十分なデータが揃っていないのだと言う。
イゾラは「まだデータが豊富ではない。(木曜日に)メルセデスとザウバーが使用しただけだからだ」と説明した。
これまでにピレリの新しいスーパーハードタイヤを使用したチームはいない。それでも、各チームはバルセロナの再舗装されたコースで得た走行距離の長さには驚いている。
「どのチームも毎日100周以上ずつを楽にこなすことができていた」とイゾラは語り、以下のように続けた。
「最も大きな違いは、ここが今年再舗装されたコースだということだ。路面はよりスムーズになり、グリップも増している」
「再舗装前と比べると、コースの特性がまったく変わった。以前のコースではタイヤのデグラデーションや摩耗が多く、苛立ちを感じることもあった。より硬いコンパウンドが合っていたのだ」
「新しい舗装は以前よりもずっとスムーズに走れて、しかもちょうど良い水準のグリップがある。つまりデグラデーションも摩耗も少ないということだ」
このコースでのグレイニングは、昨シーズンはさほど問題になっていなかったが、今年のテストで再び見受けられるようになった。
イゾラは「ブリスターやグレイニングが多少見られた。昨年と比べて、グレイニングは新たな現象だ。昨年は一切なかった」と認めている。
「新しいターマックが若干のグレイニングを生じさせているのだと思う。なぜなら、路面がスムーズで左の前輪がやや滑るからだ」
「各チームの新型マシンが我々の新しいタイヤに与えているエネルギーの大きさを考えれば、ブリスターはさほどの驚きではない」
ピレリは、今シーズン開幕戦にソフト、スーパーソフト、ウルトラソフトの3種を持ち込むことにしている。その後、ウルトラソフトについては第7戦カナダGPまでは実戦に登場しない予定だ。
イゾラは「次の行き先はオーストラリアGPだ。我々が競争的な状況において、2018年タイヤの性能を見る最初の機会となる」と付け加えた。