F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点で第2回バルセロナ合同テスト後のチーム状況を採点。快晴の中、絶好のテスト日和となったバルセロナサーキットで各車は積極的に周回。トップチームだけでなく、第2集団の状況も明らかにしていく。
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■メルセデス ☆4.5+
ドライバーもエンジニアたちも、第2回バルセロナテストの4日間でさらに自信を深めた。総合計4841km走破、昨年の5102km、16年の6024kmには及ばなかったのは雪みぞれ天候で1日分少なくなったから。
それでも実質的に6週末マイレージを満たす距離(PU細部をどう変えたか不明でも)、今年のパワーユニット3基制限(1基=7戦)のハードルに唯一迫れた。ハミルトンが最終日にレースシミュレーションでベスト1分19秒464(SSタイヤ)、このハイペースはボッタス自身も意識せざるを得ない。
彼はソフト寄りスペックでブリスターを訴えたがそれは他チームにも出ていること。大きな不安要素にはなるまい。18年『第0戦』バルセロナ・テストも首位、限りなく五つ星に等しい……。
■フェラーリ ☆4
ベッテルとライコネン1-2タイム、懸命なパフォーマンス追及テストを実行。その意図はメルセデスを追うためと同時にレッドブルを警戒、チームとしてこの“1-2解答”がどうしても欲しかったのだろう。
これは昨年と全く一緒だ。予選モードをトライしつつPUのオイル燃焼技術をテスト、我々には全く見えないエンジンオイル『シェル』の開発が開幕で実るか。かなり危機感が漂うラスト4日間だった。
■レッドブル ☆4.5
最後2日のテストメニューに注目したい。7日目マックス・フェルスタッペンが187周を走り、レースシミュレーションを徹底、ベストタイムは総合20位にとどまった。なぜパフォーマンスランをしなかったのか(させないのか)。
一方、ダニエル・リカルドは前日に165周して総合4位タイム。レース重点のフェルスタッペンは手の内を隠したのだろうか。今年これから二人の間にひょっとすると何か“スパーク”しそうな気配あり……。
■フォース・インディア ☆3
タイムは伸びず周回数も8番目。セッティングをいじる時間を費やした割には、正解が見出せなかったと解釈するのが妥当だ。セルジオ・ペレスの表情は固くエステバン・オコンもそう見える。開幕序盤に向け、彼らは現有戦力で烈しい中間チーム戦線に向かわざるを得ない。
■ウイリアムズ ☆3
正直に公式コメントする人、パディ・ロウが言った。「今年のマシンを理解するには時間を要する」と。
テスト担当ロバート・クビカも言葉を選びながらとても“慎重な”コメントをこぼす。でも若いふたりに託すしかない古豪チーム、支えるのはロウやスメドレーのベテランたちだ。『マッサ・ロス』の影を開幕まで引きずらないといいが。
■ルノー ☆4
中間チームのなかではふたりのタイムペースがほぼイーブン、それが際立つ。つまりそれだけ質の高いデータが揃うわけだ。この安定したコンビ力をフルに活用していければ、第2集団先頭の有力候補に。ワークスとしての地力がさらに整備されつつある。
■トロロッソ ☆4
ホンダ1基目のPUで2318kmをカバー、これはほぼ3週末マイレージに相当。信頼性テストから耐久性テストに移行したこの4日間で、PU内部のどこに変化があったのかを精査することが最終準備となる。開幕戦に強いのがトロロッソ、この4年連続100%入賞中でダブル入賞も3回。新人ふたりをカバーするだけのコース・ノウハウがあるのだ。
■ハース ☆4
驚きの7日目、ケビン・マグヌッセンが2位、総合で6位へ。一発タイムに苦心してきたがスーパーソフトタイヤでこのタイムはポテンシャルの証明だ。なぜハイパーソフトを履かなかったのか、メルセデスと同じ“タイヤ思考策”が思慮深い。レース想定ランもふたりが1本ずつしっかり消化。第2回テストで最もジャンプしたのは3年目のハースだ。
■マクラーレン ☆3.5
チーム別2位のタイムをフェルナンド・アロンソが最終日夕方のエンド15分前に計測。意地でも出しきってみせた。だが赤旗(ストップ6度)がどうしても気になる。首脳陣は例によって強気コメントをするが、それが技術側にはプレッシャーにもなる。うがった見方になるが株主へのアピールのためにアロンソにアタックさせたか。
■ザウバー ☆2
最終日に新人シャルル・ルクレースがコースオフ。務めを分かっていながらもやってしまった事態からは、マシンコントロールが相当シビアだと思える。周回数はチーム別で6番目、それでもセットアップが定まらないのならアルバートパークはもっと厳しい。走りやすいセットで行く方がベターだろう。