F1バルセロナ合同テスト2回目が終了し、マシンの速さそして信頼性が見えてきた。今回は全チームの戦闘力を分析し10回にわたり連載していく。第3回目は2013年以来となるタイトル奪還を目指すレッドブルだ。
———————————
●レッドブル(チーム戦力:93点)
1回目のテストを終えた段階では、目立った速さを見せていなかったレッドブル。しかし、2回目に入って、一気にスピードアップしてきた。これは彼らが1回目のテストで新車のデータに徹していたのか、あるいは走り込みが予定していたほどできず、セットアップの方向性が定まっていなかった可能性がある。
流れが変わったのは2回目のテストの2日目から。前日の3月6日にそれまでの最多周回となる130周をマックス・フェルスタッペンが走り込んだ直後の3月7日、ステアリングを引き継いだダニエル・リカルドは、1分18秒042というその時点での合同テスト最速タイムを叩き出したのだ。
このタイムは2008年のテストでフェリペ・マッサが記録した1分18秒339を上回るスーパーラップだった。
リカルドはトップタイムをマークしただけでなく、1人のドライバーの周回数としても、その時点で最も多い165周を走破した。
翌3月8日はフェルスタッペンがレースシミュレーションを行い、フェラーリと同等のペースがRB14にあるところを披露した。
さらにテスト最終日の3月9日には新しいフロントウイングを持ち込み、データ取りを行った。この日、リカルドがスーパーソフトで記録した1分18秒327がこの新しいフロントウイングで計測されたものかどうかは確認されていないが、2日前にリカルドがマークした1分18秒042がハイパーソフトだったことを考えると、2ポジション硬いスーパーソフトで同等のタイムを出したのは、新しいフロントウイングの効果があったと考えられる。
クリスチャン・ホーナーも「合同テストの間にコンマ4秒ほどマシンを進化させることができた」と語っていることから、空力の開発が順調に進んでおり、さらに開幕戦までに進化するものと考えられる。
というのも、8日間のテストを終えて9チームはカタロニア・サーキットを去ったが、レッドブルだけは残り、翌日もフィルミングデーを利用した100km以下の走行を行っていたからだ。
ただし、レッドブルにはふたつの懸念材料がある。ひとつはエイドリアン・ニューウェイがチーフテクニカルオフィサーというポジションでチームに残るものの、今後の開発を指揮はテクニカルディレクターに昇格するピエール・ワシェが引き継ぎ、空力責任者のダン・フェローズともう一人のチーフデザイナーのポール・モナハンとともに開発していくと報じられているからだ。この3人は2016年のマシンを開発した中心人物。果たして、RB14を今後、どこまで進化させられるのか。
もうひとつの懸念材料は、ルノーのパワーユニットだ。あるレース関係者によると、テストでのGPSのデータからルノーのPUは、メルセデスよりも40~50馬力劣っていたという。問題は現在のルノーのPUにこれ以上の伸び代が期待できないということ。
レッドブルとルノーとの契約は今シーズン限り。コース上でメルセデスとフェラーリとレースしながら、コース外では来季以降の契約を巡って、ルノーとの政治的な戦いも行わなければならない。