2018年03月13日 10:22 弁護士ドットコム
佐賀少年刑務所で2月16日、80代の男性受刑者がけいれんを起こし、搬送先の病院で死亡した。ネットでは「少年刑務所」と「80代の受刑者」という対極の組み合わせに疑問を持ったユーザーも少なくないようだ。
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実は少年刑務所に「少年」はほとんどいない。法務省によると、2016年の少年刑務所の入所者数は2609人。20歳未満は12人(0.46%)だけ。一部の重大犯罪を除けば、少年院に入ることが多いからだ。
少年刑務所は、全国に6個所(函館・盛岡・川越・松本・姫路・佐賀)あり、「受刑者の集団編成に関する訓令」と、その「運用について」で対象が決まっている。
入所者の年齢は26歳未満が基本だが、割合で行くと1382人(52.97%)で半数に過ぎない。残る半分は、犯罪傾向が進んでいない26歳以上が中心だ。刑の確定後、地域性なども加味され、施設が決まるという。
65歳以上の高齢者が84人(3.22%)おり、「少年」よりも多いという。年齢構成は次の通り。10代=12人、20~25歳=1370人、26~29歳=415人、30代=315人、40代=250人、50代=126人、60代=72人、70歳以上=49人。
少年刑務所は一般の刑務所に比べて、矯正処遇が手厚い。未成年の受刑者には、個別に担任がつくなど、特に配慮されているという。
成人した受刑者についても、職業訓練などが充実。教育が十分に受けられなかった受刑者を対象に、中学や高校の教科指導が受けられるところもある。松本少年刑務所内にある「旭町中学校桐分校」は、2010年に『塀の中の中学校』としてドラマ化された。
刑事施設(刑務所・拘置所)の入所受刑者は年々減っている。矯正統計調査によると、刑事施設全体では、2012年末の5万4116人から2016年末には4万4911人に減少。一方、70歳以上は2750人から3104人に増えた。
少年刑務所もこの間、受刑者が大幅に減り、2017年3月には奈良少年刑務所が閉鎖された。法務省によると、少年刑務所の高齢者率は上がっているといい、今後も上昇が予想される。
(弁護士ドットコムニュース)