B-MAX Racing Teamからスーパーフォーミュラに参戦することになった千代勝正と本山監督、組田代表 全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するB-MAX Racing Teamは、2018年のドライバーが千代勝正に決まったと発表した。3月12日の走行後、メディア向けに本山哲監督の口から語られた。
長年フォーミュラを中心に活動を続けるB-MAX Racing Teamは、2017年から国内最高峰のスーパーフォーミュラに参戦を開始。2年目のシーズンに向け、12月のエンジンメーカー/ルーキードライバーテストでは高星明誠と佐々木大樹が乗り込み、3月11~12日の公式テストでは、午前はヤン・マーデンボローが、午後は千代が乗り込んでいた。
そんななか、これまで未定となっていた2018年のドライバーについて、本山監督は走行後集まったメディアを前に「千代に決定しました」とドライバーの名を告げた。
「最終的には組田龍司代表が決定を下しましたが、B-MAX Racing Teamは2017年から参戦して、これから上がっていくべきチーム。現状はクルマが完璧ではない状態ですが、そのなかで将来的に、これからチームととともに進んでいけるドライバーとして選びました」と本山監督は千代選択の理由を語った。
組田代表、そして本山監督の話によれば、チームとしてゆかりのあるドライバーを12月のテスト、そして今回のテストで均等にチャンスを与え、最終的に本山監督の意見を汲みつつ、組田代表が選択したのが千代だったという。今回のテストでは、前日に行われたモータースポーツファン感謝デーのなかで、本山監督自身が「ベースとしてクルマが大きくおかしいところがないかも見たかった」とマシンをドライブ。同じセットでマーデンボローと千代を走らせ、それぞれの好みに変更させていき、その流れとタイムアップの状況を見ての判断だという。
12日の午後のセッションが千代にとっては初めてのスーパーフォーミュラ乗車だったが、本山監督は「正直昨年の段階では、千代自身スーパーフォーミュラに乗れるチャンスがあるかは、あまり考えていなかったと思う。そこから、テストができるということに対して本人も努力しただろうし、初めてというのが言い訳にならない今日の走行でも、それなり以上には走ってくれた」と評価した。
■「やるからには表彰台に上って、優勝を目指す」
「全日本F3のチャンピオンを獲得して以降、トップフォーミュラに出る縁が今までずっとなかったので、同世代のドライバーが活躍する一方で、自分はずっとGT500で頑張る方に集中してきました」というのは、ほんの1時間ほど前にスーパーフォーミュラ参戦決定を告げられた千代だ。
「B-MAX Racing TeamとはF3の頃から関係があって、気にかけてくださっていた。今までの自分の予定では『スーパーフォーミュラに乗る』というのは想像できる状況ではなかったですが、こうしてチャンスをいただいたのは、B-MAX Racing Teamの組田代表をはじめ、本山監督の後押しもあってのことだと思うので、この機会をくださった皆さんに感謝したいです」
千代によれば、テスト参加の話が決まったのは3週間前。「戸惑いもあった」というが、時間の許す限りトレーニングを積み、スーパーフォーミュラのドライブに向けて準備を進めてきたという。迎えた午後の走行では、1分39秒392で18番手となったものの、SFの速さには慣れた様子だ。
「自分が今まで乗ったレーシングカーのなかで、間違いなく最速のものでした。体験したことのないGを経験したし、すごく驚きました。スピードも速く、目が慣れないところもありましたが、2時間のテストで慣れることができました」
「僕は今までGTカーに乗る機会が多く、GTのトップを目指していたので、フォーミュラはあきらめていたところもあります。ただスピードを追い求める、ドライビングを極めるという意味で、日本のトップカテゴリーであるスーパーフォーミュラで、ライバルたちがたくさん戦っているのを意識しないのは無理な話でした。興味はずっとありました」
「機会がなかったトップフォーミュラで走った結果、F3時代から苦楽をともにしたチームにまたこうして選んでもらって、本当に嬉しいです。でも出るだけでは意味がないですし、やらせてもらうからにはうしろを走るつもりもない。このチームで表彰台に上って、優勝を目指さなければいけない。すごく大きな責任を感じています」
カートからFCJにステップアップした後、F3を長年戦い、ヨーロッパやGT300での修行を経てGT500に登り詰めた千代は、ドライバーとして個の力が問われる世界でさらなる高みを目指し、国内トップフォーミュラに挑む。