2018年型BRZ GT300の開発の順調さをアピールした井口卓人と山内英輝。仲のよいふたりは相変わらずの名コンビぶりをトークで発揮 スバル/STIは3月11日、東京恵比寿にある本社ショールーム、SUBARU STAR SQUEAで『SUBARU 2018 モータースポーツファンミーティング』を開催。スーパーGTや全日本ラリー選手権などに参戦するスバル契約ドライバーたちが登壇し、オフレコトークで会場を盛り上げ、スーパーGT300クラスに参戦する井口卓人、山内英輝はオフテストでの好感触を語った。
会場に集まった約150名のスバルファンに囲まれて開催された『SUBARU 2018 モータースポーツファンミーティング』。会場には7台のレース車両が展示され、定員オーバーで会場の外からイベントを見つめるファンもいるなか、スバル契約ドライバーたちの軽快なトークが冴え渡った。
なかでもやはり注目されるのが、今シーズンのGT300での活躍。トークショーの最初に登場した井口、山内、そして昨年までの辰己英治前監督、今季から指揮を執る渋谷真総監督の4人が登壇し、2018年型のBRZ GT300の開発が好調に進んでいることを報告した。
「課題として最高速度が遅いというがあったので、今年はcd値(空気抵抗係数)を大きく減らしました。エンジンの方でも、開発をかなり攻めて、一滴の燃料も効率的に使えるよう燃焼効率を改善しました」と話したのは、STI(スバルテクニカインターナショナル)出身の渋谷総監督。
これまでスバルの代名詞でもある水平対向の2リッターターボエンジンは車体の低重心化に大きく寄与し、BRZ GT300はコーナリング速度の速さを武器としていた一方、海外メーカーのGT3勢の大排気量エンジンには直線スピードで水を空けられる展開が続いていた。
今季はその対策として、ボディは前後フェンダー、カナード、ドアミラーを新規に設計してエアロ特性を改善。エンジン面では燃焼室の形状を見直し、エンジンヘッド内の冷却を改善させて、エンジンのパフォーマンスを最大限に引き出せるよう、2018年型車両の開発を進めてきたという。
ドライバーのふたりも、2018年型のBRZに関して手応えは充分に感じているようだ。
「富士スピードウェイでのシェイクダウンは気温が寒かったということもあって、まだ転がしたという段階だったんですけど、その後のツインリンクもてぎ、そして鈴鹿サーキットでテストして確実に良くなっていきました。もてぎでは、今までのBRZでは出したことのない速いタイムをニュータイヤで出せたり、まだまだ改善の余地はありますけど、今年のクルマの印象はすごくいいです」と井口。
山内も「井口選手が話したように、もてぎでは速かったですし、サーキットによってまだまだ変えていかなきゃいけないところもありますが、ここから速くできるところはたくさんある。開幕から期待しています」と続ける。
さらに井口は、渋谷総監督にプレッシャーをかける。
「今年はマシンの特性をローダウンフォースにして、(GT300クラスの)GT-Rを抜けるくらいストレートスピードを出して頂けるとのことなので、ファンのみなさんにも面白いレースをお見せできると思います」と会場で宣言すると、ファンからは「おおっ!」という歓声に沸く一方、ステージ上の渋谷総監督は苦笑うというシーンも見られた。
「近年のBRZは夏場に強いという印象があって、どうしても気温の低い開幕戦やシーズン終盤、最終戦でポイントが獲れない展開が続いていて、シリーズに大きく影響していた。今年はその寒いコンディションのなかで、いかに速いタイムで継続して走り続けられるか。ドライビングの面でも強化していきたいと思っています」と井口。
「まず早い段階で1勝。そしてチャンピオンの可能性を残して最終戦に残りたい」と井口が今季の目標を語れば、山内も「ポール・トゥ・ウインからぶっちぎりで勝てるレースをお見せしたい」と今季の目標を語った。
今年は井口がニュルブルクリンク24時間でもWRX STIで山内と同チームで参戦することになったことで、「ず~~っと一緒にいる(苦笑)」というふたりの仲の良さがわかるプライベートの話や、一歳年下の山内と先輩、井口の移動する車内でのエピソードなど、ファンミーティングならではの話題で会場を楽しませた。
井口、山内のスーパーGTのあとには全日本ラリーに参戦する新井敏弘、勝田範彦、鎌田卓麻、そして86/BRZシリーズに参戦する久保凛太郎、池島実紅が登壇してトークショーを行い、ラリードライバーたちの食事事情、かつ丼ネタや、86/BRZシリーズにスバルから初めて参戦する新人の池島と久保、先輩井口のやりとりなどなど、その後のイベントやゲームを通じてファンにとってはうれしい1日となったようだ。