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追突が響いた佐藤琢磨9年目のインディカー開幕戦「どうしようもなかった」

2018年03月12日 11:51  AUTOSPORT web

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9年目のインディカー開幕戦に挑んだ佐藤琢磨
インディカー9年目を迎える佐藤琢磨が開幕戦を迎えた。6年ぶりに古巣レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに戻った琢磨は、ウインターテストも好調にこなしており、今年と開幕戦に寄せる期待は例年以上のものがあった。

 ダラーラのマシンがホンダ、シボレー共に共通となり新しいエアロパッケージで、全チームが同じ出発点に立ったことも、期待値を上げる要因だったのは間違いない。

 昨年のインディ500ウイナーだった琢磨は、プロモーションにも引っ張りだこで、このセント・ピータースバーグでもチャリティイベントのカートレースに呼ばれるなど大忙しだった。


 しかしいざ走り始めてみると、金曜日FP1で大苦戦。なんと22番手となってしまった。ライドハイドの設定に戸惑ったというが、それにしても厳しい出だしだった。

 午後のFP2では10番手までタイムを短縮し、軌道を修正した。

 だが琢磨がベテランとして真骨頂を見せたのは予選だった。FP3で9番手となり予選ではグループ2に振り分けられた琢磨は、Q1はタイヤの温まりが悪くさらにトラフィックに遭ったこともあって、7番手となり万事休すかと思われたが、マルコ・アンドレッティが走路妨害のペナルティを受けた為に繰り上げの6番手に。そしてQ2も6番手ギリギリで通過してQ3を迎える。

 Q3直前から小雨が落ち始め難しいコンディションとなったが、琢磨はその中で5番手をもぎ取った。予選全体では運も多分に味方したが、それでもこの相性の良いセントピータースバーグでファストシックスに残ったのはさすがだった。

 琢磨は「でもフロントロウは取りたかったですね。せっかく運も味方してQ3までいけたし、チャンスがあったんだから。惜しかった」とこぼす。

 過去もっともファストシックスに進出しているこのトラックでは過去5位が最高位。今年はそれを上回る結果が期待された。

 日曜日も雨予報があったものの快晴の中でレースがスタート。ポールポジションのルーキー、ロバート・ウィケンスがどんなスタートするか注目されたが、琢磨は5番手をキープしながらターン1をクリア。後方のジェームズ・ヒンチクリフとバトルしながら、1周目を終える。

■上位争いに水を差したもらい事故
 序盤はルーキーのマテウス・レイストのトラブルなどイエローコーションも出たが、琢磨に災いが降りかかったのは30周を過ぎた頃のリスタートだった。

 琢磨はレコードラインで1コーナーに入ろうとしたが、後方から来たスコット・ディクソンが琢磨に追突! 琢磨はそのままスピンして右リヤをパンク。エンジンが止まらなかったのは幸いだったが、そのままピットでタイヤ交換に。ディクソンにはピットスルーのペナルティが与えられた。

 残りも70周近くもあったが、ほぼ最後尾から追い上げを開始した琢磨。しかしブラックタイヤでのペースは思うように上がらず、16、17番手でこう着してしまう。

 終盤にインディカーらしいイエローが多発するが、琢磨は期に乗じて12番手までポジションを上げたものの、そこでチェッカーとなった。


「ディクソンに当てられてしまったけど、どうしようもないですよね。彼にペナルティはあったみたいだけど、彼は6位でフィニッシュしてますから。どうしてなんだろ(苦笑)。グラハム(レイホール)も2位でしょ? 本当にどうなってるんでしょうね(笑)」

「ブラックタイヤでもハンドリングは良くなかったし、クラッシュのダメージでフロアやガーニーもダメージを受けていたかもしれません。路面のタイヤかすがひどくてストレートでもラインを外して走れないほどでした。ダウンフォースが少なくなったクルマだと、オーバーテイクは難しいですね」

「でもチームとしては2台とも完走しましたし、次に繋げられる結果だったと思います。フェニックスはテストも良かったですから、楽しみにしたいですね」

 困難が降りかかる週末だったが、しぶとく完走して見せた琢磨。何があっても最後まであきらめない気持ちをアピールした琢磨の3.11のレースだった。