先日、お菓子の工場見学に行って一人ゾッとしてしまった。工場スタッフがベルトコンベアーから流れる仕上がった商品をひとつひとつ目視で確認しているのだ。恐ろしい。私にはできないと恐怖さえ感じてしまった。
恐怖の背景には前職の記憶があった。私は以前会社で事務職をしていたので、単純作業的な業務も少なくなかった。だが、下手に慣れてくると無意識に気が遠のいてどうでもいいことを思い出したり、しょうもないことを思いついたりして、気づいたらミスをしている。何度も注意されるのだが、しばらくするとまたミスをしてしまう。作業に集中するのが難しく、なぜこんなに簡単に思えることができないのかと自信をなくす日々だった。
先日、ガールズちゃんねるで「単純作業の仕事って実際どうですか?」というトピックを目にした。
投稿者は、ライン工場の仕事に応募しようとして、現場の声が聞きたいとのこと。なぜライン工場なのかというと、コミュ障で仕事もトロいため、単純作業であれば出来ると踏んだようだ。
では単純作業の現場はどのような内情なのか。投稿者の「コミュ障」という懸念に対して、厳しい反応が相次いだ。(文:ツマミ具依)
「動作が遅くて3日でクビになった」という人も
「単調作業は暇なのか他人チェックしてヒソヒソする人が必ず一定数いるし陰湿な空気だったりする。 単純作業は接客みたく外部の人との関わりがないだけで、内部はむしろベタベタをしないとハブられるって所が多い」
人と相手にする仕事でなくても職場の人間関係は避けらない。ずっと同じ空間にいて閉鎖的な分、雰囲気は良くないといった声が目立った。一方で「いじめとかなくみんな優しい!」という声もわずかにあり、結局は社風によるようだが、大半はコミュ障だと職場に馴染めないという評価を下していた。
そして「トロい」という点も問題視されていた。
「単純作業ってスピードが求められるから、トロいのは致命的。 1日にどれだけ数こなせるかにかかってくるし、自分のせいでラインが止まったりすると周りの目が痛い」
単純だからこそスピードが求められるのは当然ともいえるが、トロいと全体に支障をきたす恐れがあるとなると、それ以上に追い込まれるだろう。「動作が遅くて3日でクビになった」という書き込みもあった。
だが、救いの代替案として梱包やピッキングの仕事を薦める声が数件あった。ライン工場と異なり、他の人の業務を巻き込まずに自分のペースでできるからだという。なるほど。同じ単純作業でもチームプレーか個人プレーかどうかで、かなり負担が変わってくるようだ。
「仕事をしながら頭の中で流していた」というミスチルの歌詞
いずれにしても、単純作業の仕事は応募のハードルが低く、給与も低いことがほとんどだ。掲示板でも散見されたが、軽んじられるようなことを言われることも少なくない。
私の身近に転職活動に苦労している人がいる。仕事上のコミュニケーションが課題のようなので単純作業系の業務を提案してみたら、「そんな仕事は嫌だ」と突っぱねられた。プライドが許せないようだ。
ただ、単純作業にもやりがいがないわけではない。スレッドでは、「仕事をしながら頭の中で流していた」という歌が紹介されていた。
「僕のした単純作業が この世界を回り回って まだ出会ったこともない人の 笑い声を作ってゆく」
このMr.Children.の「彩り」の歌詞のように、従事する人は多かれ少なかれその仕事に誇りを持っていると思うし、ただ素朴に「楽だし」といった理由だとしても、割り切って気楽に働く姿もすがすがしい。