2018年03月11日 19:32 リアルサウンド
最終話に向けて大きなカードを切ってきた『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)。これまで家族のためにと犯罪を重ねてきた秀作(山田涼介)だったが、3月10日放送の第9話で、実は北沢家と血がつながってないことが判明。同じ日に同じ病院で生まれた吉田邦夫(加藤諒)が本当の北沢家の息子で、2人は取り違えられていたという。
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第1話、泰蔵(中村梅雀)のスキャンダル証拠写真を消すために犯した窃盗罪に始まり、威力業務妨害罪、二項詐欺罪、住居侵入罪などと、博文(小澤征悦)と知晶(波瑠)の無理な注文に法の枠を超えて応えてきた秀作は、誰よりも家族への愛が深かった。だが、邦夫から血がつながっていないという事実を聞かされ、泰蔵もあっさりそれを認める。博文たちも「だから秀作にきつく当たってしまってたのか」と納得してしまう様子に、秀作は計り知れないショックを受け、邦夫と1週間、家を入れ替えて過ごすことにした。
邦夫を演じたのは今やバラエティでも引っ張りだこの加藤。印象的なおかっぱに太い眉毛、深いホリがトレードマークの若手注目株のバイプレーヤーだ。濃い顔の加藤と、ジャニーズでも1、2を争う正統派イケメン・山田が入れ替わるのは流石に突飛すぎると誰もが思っただろう。しかし、加藤と博文役の小澤の顔が似すぎているのだ。ともに濃い顔で、同じ動きで食事をとるシーンは完璧なシンクロ率であり、笑いを誘うと同時に、シナリオの説得力が一段と増した。
そんな邦夫は顔通り小ずるいやり方で北沢家にとり入り、秀作は不満を覚えながらも吉田家へ行くことに。ケーキ屋を営む吉田家は執事もおらず、茶色いおかずばかりが食卓に並ぶありふれた一般家庭だ。しかし家族から冷たくあしらわれてきた秀作にとっては、こたつで何気ない会話をしながらの食事、手酌で飲む瓶ビール、そして何より自分が来たことを喜んでくれる吉田家に胸を打たれ、何気無い感謝の言葉さえも心に響いてしまう。「ありがとうは人生のご褒美だ」と満面の笑みで名言を炸裂させた。
両家の生活が気に入った2人は約束の1週間が過ぎても元の家に戻ろうとはしなかった。邦夫の胡散臭さを怪しんでいた知晶は、尾関光希(小瀧望)に秀作を連れ戻すよう頼むが、温かい家庭の居心地の良さにどっぷりハマってしまった秀作。「自分がいるべき場所をようやく見つけたんだ」と戻る気力すらなくなっていた。ボサボサの髪にちゃんちゃんこを着てこたつに潜りながら漫画雑誌を読む姿に、東大卒エリート警察官の面影はなく、それどころか人気ジャニーズアイドルの顔すらも浮かばない、単なる下町の息子になっていた。
これまで幾度となく困難が降りかかってきた北沢家だったが、最後の問題は”秀作に家族の温もりを教えなかったこと”ではないだろうか。母が亡くなって以降、末っ子で少し出来が悪いからと秀作にキツく当たってきた北沢家。その結果、吉田家の温かさから秀作が抜け出せなくなってしまった。次週の最終話で北沢家ならではの家族の形が示され、秀作が幸せに元の家に戻れることを願うばかりだ。
(馬場翔大)