オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC) WRC世界ラリー選手権第3戦メキシコは3月9日、デイ2のSS9~10が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が首位と11秒差の総合3番手につけた。しかし、チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)、エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)はアクシデントによりデイリタイアとなっている。
かつて銀鉱で栄えた古都グアナファト市街地での戦いから一夜明けた9日、ラリー・メキシコは本格的なグラベル(未舗装路)ステージを迎えた。
この日設定された9本のSSはその多くがレオン周辺の山岳地帯や荒野を舞台とするステージとなったが、SS3/SS7の“エル・ショコラテ”では全長31.44kmと今ラリー最長のコース長となるのに加えて、ステージ途中では標高2700mに達する地点を通過するなど、実質的な“初日”からとりわけ厳しいラリーが選手たちを待ち構えていた。
そんなデイ2を総合2番手、4番手、5番手で迎えたトヨタはこの日最初のステージとなったSS2から苦戦を強いられ、一時はタナクが総合5番手、ラトバラが10番手、ラッピは11番手まで順位を落としてしまう。
しかし、走行を重ねるごとにペースを改善していった3名は徐々にポジションを回復。午前中の4本のSSを走行後にはタナクが総合4番手に浮上したほか、ラトバラも3つ順位を上げて総合7番手に。ラッピも総合10番手となった。
日中のサービスを挟んだ午後のSS6ではタナクがトップ3圏内に進出。僚友の2名もこれに続きたかったが、SS7のステージ中間地点付近でラッピがコースオフを喫してしまい走行不可能となってしまう。
また、続くSS8ではラトバラのマシンのオルタネーターにトラブルが発生。こちらも競技続行が難しく、デイリタイアを喫することとなった。ラリー半ばでサービスに戻ることとなってしまった2台はチームスタッフによる修復作業を受け10日のデイ3は再出走できる見通し。スタート順が速くなることで厳しい戦いとなるが、後方順位からの巻き返しを狙う。
一方、上位で孤軍奮闘するラッピはSS8、SS9でトップタイムをマーク。さらにSS10でも1位タイのタイムをマークし総合首位のマシンと11秒差、総合2番手とは3.8秒差の総合3番手でデイ2を終えた。
「全体的には良い1日だった。ヤリスWRCでグラベルラリーを戦うのは初めてだったので、学ばなくてはならない新しいことが沢山あったよ」とタナク。
午前はエンジンの温度上昇に気にかけていたが「日中のサービスでチームが素晴らしい仕事をしてくれたので、午後は思い切って攻めることができたんだ」と後半のペースアップの理由を語った。
トミ・マキネン代表はそんなタナクを称賛。「オット(・タナク)は今日、本当に素晴らしい仕事をしてくれた。難しいコンデイションだったが非常にクレバーに戦い、クルマの性能をフルに引き出したと思う。5番手スタートという出走順での今日の結果を考えれば、より後方からのスタートとなるデイ3はさらなる期待が持てる」
一方、リタイアを喫した2台については「ヤリ-マティ(・ラトバラ)のクルマにトラブルが起きてしまったことは残念だ。またタフなイベントに初めて出場したエサペッカ(・ラッピ)にとっても、今日は大変な1日になった」とコメント。
「(しかし)ヤリ-マティは明日は2番手スタートとなるが、選手権ポイントの獲得は十分に可能だと思う。エサペッカについても明日はより多くの経験を積むことができるはずだ」
ラリー・メキシコの洗礼を浴びたカタチとなったラッピは「非常に困難な1日だった」と競技2日目を振り返る。
「90度の左コーナーで進入ラインを見誤り、その結果ワイドに滑ってしまいコースから外れてしまった。クルマはそれほど大きなダメージはなかったけれど、コースに戻ることができなかった。本当に不必要なミスをしてしまったと思う。明日は状況が良くなることを期待しているよ」
WRC第3戦メキシコのデイ3はステージ終盤にビッグジャンプが控えるラリー・メキシコの名物ステージ“エル・ブリンコ”を含む合計9本のSSで争われる。SSの合計距離は140.35km、1日の総走行距離は340.55kmだ。