2018年03月10日 10:42 弁護士ドットコム
仮想通貨取引所コインチェックから、巨額の仮想通貨「NEM」が不正流出してから1か月以上が経過した。事件の全容はいまだ掴めず、被害者は相次いでコインチェックに対し損害賠償請求などの訴訟を起こしている。流出額は日本円にして約580億円分で、26万人が被害者だとされるが、そこにはお笑い芸人ら有名人も含まれているという。
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2018年2月18日深夜の番組「EXD44」(テレビ朝日系)では、お笑い芸人のたむらけんじ(たむけん)さんが仮想通貨に投資していることが紹介された。350万円投じて最高で3,500万円になったという。その後、NEM流出もあって相場は下がり、1,000万円程度になったと明かした。
飲食業なども手がけるたむけんさんの実際の年収は定かではないが、仮に個人として全ての事業を行い課税所得が1億円だったとして、仮想通貨が値上がりして「最高」だった3,500万円のときに売却して利益確定をしていたら、どれくらいの税金を納める必要があったのだろうか。2017年中に利益確定を行い、2018年に確定申告をする前提で試算した。
国税庁の方針で仮想通貨の売却益は原則として「雑所得」に区分される。売却益は3,500万円-350万円=3,150万円となる。他の所得と合算する「総合課税」により所得税は計算されるため、各種所得控除や税額控除を度外視して計算すると、課税所得1億円+3,150万円=1億3,150万円に対して課税されることになる。
所得税の税率は、5%から45%で課税所得が多いほど高くなり、さらに一律で2.1%の復興特別所得税が課される。住民税は均等割を除くと一律10%だ。なお、事業所得に関しては事業税も課されるが、今回は試算対象としていない。
<所得税>1億3,150万円×45%-479.6万円(控除額)=5,437万9,000円
<復興税>5,437万9,000円×2.1%=114万1,959円
<住民税>1億3,150万円×10%=1,315万円
※合計:6,867万900円(端数切捨て)
ちなみに仮想通貨の利益確定をせず、課税所得1億円だけで試算すると以下のようになる。
<所得税>1億円×45%-479.6万円(控除額)=4,020万4,000円
<復興税>4,020万4000円×2.1%=84万4,284円
<住民税>1億円×10%=1,000万円
※合計:5,104万8,200円(端数切捨て)
仮想通貨の利益確定に伴う「上乗せ税金」は、6,877万900円-5,104万8,200円=1,762万2,700円となる。いずれにせよ、とてつもない額を納税しなければならないが、人気芸人のたむけんさんなら痛くもかゆくもないのだろうか。
(弁護士ドットコムニュース)