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視聴者の想像かき立てる 問題作『ホリデイラブ』松本まりかの表情をあえて映さない怪奇さ

2018年03月10日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 3月16日放送の最終話に向けて、最終章に突入した『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)。3月9日に放送された最終回直前の第7話「夫婦間恋愛」にて、登場人物それぞれが物語のゴールを見つけ、本心を露わにしていった。井筒渡(中村倫也)は、里奈(松本まりか)との結婚当時を回想し、7年で変わってしまった現状に落胆。黒井由伸こと志賀拓巳(山田裕貴)は里奈に脅されていたとはいえ、高森杏寿(仲里依紗)への思いは本当であったことを告白。純平(塚本高史)は杏寿からの思いに応え家に戻り、また一から小さな幸せを取り戻す。春田龍馬(平岡祐太)は純平が高森家に戻ってきたことで、杏寿への思いを表情に滲ませていた。


 そして第7話では、渡に子供を奪われた里奈と、七香の卒園式をきっかけに再び純平とヨリを戻した杏寿の対照的な姿が描かれていたのが特徴的だった。家にも帰れず漫喫に連泊する里奈と、再就職を決め華麗な転身を果たす杏寿とは天と地の差だ。


 そんな中、杏寿の務めるネイルサロンに現れた坂口麗華(壇蜜)は、「あの女まだ諦めていないと思うわ。あなたのご主人のこと」と里奈の復讐の念は消えていないことを喚起し、「人はね、手に入りそうで入らないものに執着するの。手に入ってしまえば、その幸せを見なくなるのに。くすぶっている火種を消さなければ、本当の火消しにはならないのよ」とアドバイスする。


 「スピリチュアルな世界に通じる霊的能力の高い女」という設定の坂口は、これからの杏寿の物語を暗示する役割にいた。坂口が“火種”と指すのは、もちろん里奈。杏寿が純平に宛てた手紙を正直に渡したかと思えば、漫喫でカップラーメンをすすりながら現実に戻り、「やっぱ無理」と無心でつぶやく。


 そして今回のラストで、卒園式を終えた七香が失踪し、ドラマは最終回へとつながっていく。連れ去られる七香の表情から察するに犯人は面識のない誰か。杏寿は七香がいなくなったことで、咄嗟に不気味に笑う里奈の顔を思い浮かべる。幼稚園に向かう何者かの影がインサートされるのだが、このシーンがすごいのはこれが里奈であることはもちろんのこと、彼女がどのような表情を浮かべているのかまで、視聴者に想像させてしまうことだ。カラスが鳴く演出が、その怪奇さを演出している。


 また、杏寿が里奈へ電話をかけるシーンがあったが、そこで里奈は「ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありませんでした」と見えない相手に土下座をする。里奈の表情は髪で隠れていて確認できないが、あえて映さないことで視聴者に想像させる演出であったようにも思える。


 次週、ついに最終回を迎える第8話では、予告にて「正妻VS魔性ーー最後の対決」というテロップが。さらに、里奈が警備員に捕まり、「ずるいのよ! 最低の男! 地獄に落ちろ!」と絶叫する様子が映し出されている。今期、一番の問題作『ホリデイラブ』がただで終わるわけはない。(渡辺彰浩)