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星野源、米津玄師、菅田将暉……最注目の三者が揃い踏み 複合チャートが映し出す“新時代の届け方”

2018年03月09日 19:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 3月12日付のビルボードチャートは1位が星野源「ドラえもん」、2位が米津玄師「Lemon」、3位が菅田将暉「さよならエレジー」と今最も注目されている男性ソロアーティスト三者が揃い踏みとなった(参照:http://www.billboard-japan.com/chart_insight/)。


(関連:米津玄師、『アンナチュラル』主題歌は新たな転機に? 脚本家 野木亜紀子氏との対談から紐解く


 星野源「ドラえもん」はCDの発売週ということもありフィジカル領域で圧倒的な強さを見せて堂々の総合1位を獲得。ラジオ部門でも1位を獲得しているため、アーティストパワーだけでなくしっかりと楽曲が注目されているのがうかがえる。ツイート数でも首位をマークし話題性も充分。フィジカル面とデジタル面での総合的な強さを見せた。


 そして注目すべきは米津玄師の「Lemon」である。テレビドラマ『アンナチュラル』(TBS系)主題歌のこの曲はCD発売を3月14日に控え、先行配信とMV再生回数だけで高ポイントを獲得し3週連続で2位となった。今週のトップ10の中でCD発売前のタイトルはこの1曲のみであり、それだけでも注目度の高さがうかがえる。2月12日に先行配信開始、2月26日にMV公開というスケジューリングによりここ3週に渡って2位をマークしている「Lemon」だが、もし先行配信の開始日がもう少し遅くなり、ダウンロードポイントとMV再生回数の初動が同時に加算されていたとしたら、今週のチャートはまた違った結果になったかもしれない。「Lemon」の爆発的なダウンロード数は「ドラえもん」の総合ポイントすら脅かしている(前週と合わせた二週分の総合ポイントでは「ドラえもん」より「Lemon」の方がわずかに上回る!)。


 つまり、それだけデジタル領域における米津玄師の強さが表れているのがここ数週のチャート結果だと言えるだろう。CDリリース前からDL配信やMV公開により五月雨式に話題を作り出す、新世代アーティストによる新時代の売り方が光っているのがチャートから確認できる。


 その米津玄師と昨年、「灰色と青 ( + 菅田将暉)」にてにコンビを組んだ菅田将暉の新曲「さよならエレジー」が3位に付ける。菅田は3月21日に1stアルバム『PLAY』のリリースが決まっているため、今後のチャート動向が気になるところだ。


■MVが鍵か


 この三者はMVの再生回数が好調だ。MV部門では1位が米津玄師「Lemon」、2位が菅田将暉「さよならエレジー」、3位が星野源「ドラえもん」という並びであり、その後にTWICEの4曲が続く。こうした傾向からはMVが楽曲のヒットを後押しする重要な要素となっているのを改めて確認できる。「Lemon」のMV再生回数の驚異的な伸びがしっかりと話題となっているのを見るにつけ、もはや「売り上げが何万」という情報よりも「MV再生回数が何日で何万」というニュースの方が今は訴求力があるようだ。MVが単なるプロモーションの一つでなく、そこではじめて作品として完成されるかのように作り込んでいるのがこの三者の特徴と言ってもよいだろう。今後の音楽業界は、楽曲だけで終わらずにMVまで見据えた制作に力を注がなければならない時代になりそうだ。(荻原 梓)