「昔は〇〇だったからね!今じゃ信じられないよね」といったセリフが、年齢を重ねると自然に出てきてしまう。時の流れは常識がひっくり返るほどの変化をもたらす。たとえそれが実体験だとしても、いやだからこそ、不思議に感じてしまうものだ。
些細なことでいえば、先日ケータイに登録された電話帳の一覧をみたとき、情報が10年前からほぼ更新されていないことに気付いた。歴代の電話帳データを受け継いだ情報は、ほとんどガラケー時代の記録だ。
スマートフォンを持ちSNSでの連絡が当たり前のいま、個人間で電話番号やメールアドレスを登録することなんて、滅多にない。こうやって振り返ってみるといつの間にか当たり前だった日常が変化していたことがわかる。(文:ツマミ具依)
飲酒運転は気にしない「一升瓶片手にいつもドライブしてた!」
ここで、ガールズちゃんねるで「昔は普通だったけど今じゃあり得ないこと 」というトピックを見てみたい。
「おじいちゃんバリバリ飲酒運転で魚釣りとかに行ってた!一升瓶片手にいつもドライブしてた!今考えると事故に合わなかったのが奇跡だと思う!」
飲酒運転の問題意識の変わり様はよく話題に上がる。なんとなく見過ごされてきた飲酒運転だったが、悪質な飲酒運転による事故が社会的に問題視され、2000年以降に厳罰化を重ねた。
「電車、病院、学校、駅でもタバコOK」
煙草を取り巻く環境の変化は激しい。ここ数十年で完全禁煙の場はどんどん拡大し、いまや飲食店もその対象とされ、原則完全禁煙化を導入する動きもあるほどだ。たばこの規制は今後も年々強まっていくだろう。
昔は雑誌に芸能人の住所が載っていて、今は犯罪者の実名報道が問われる時代
「生徒を殴る為に竹刀を持って歩く体育教師」「宿題忘れたら、後ろに並んで辞書で頭を叩かれたりした」
学校生活の今と昔を比較する内容で、体罰をあげる人が声が多いのは、体罰を受けたという痛みや恐怖が強く記憶に残っているからだろう。私も高校時代に宿題を忘れて先生に教科書で頭を叩かれたことは割と鮮明に思い出せる。だが、数年前の同窓会でそのことを口にしたとき、先生は「そんなことしてたか」と少し驚いた表情をしていた。今では考えられないことなのだろう。
「卒アルに住所と電話番号載ってたよね」「雑誌に名前住所晒して文通相手募集」
氏名、住所、電話番号などの個人情報は、2003年に個人情報保護法が制定されたことにより、厳重に管理されるようになった。昔の雑誌は、一般人どころか芸能人の住所や電話番号が載っていたというから信じられない。今は犯罪者の氏名公表も是非が問われるくらい個人情報には慎重な世の中になっている。
昔と比べて、常識が揺さぶられているといえば、労働環境ではないだろうか。これほど長時間労働やパワハラ・セクハラが叫ばれた時代はいまだかつてない。いまは働き方改革として、社会が取り組んでいる過程にいる。この変化に慣れない人や違和感を抱く人もいるかもしれないが、働き方改革が浸透し定着すれば常識が覆る。「『過労死』という言葉が信じられない」と言われる未来が待っていることを願いたい。