『RallyX on ICE(ラリーX・オン・アイス)』の最終戦にゲスト参戦したエリオ・カストロネベス 先週末に初走行を果たした北米オープンホイール王者ジョセフ・ニューガーデンに続き、3月4日に行われた『RallyX on ICE(ラリーX・オン・アイス)』の最終戦でチーム・ペンスキーのチームメイトであり、インディカー・シリーズを代表するスタードライバー、エリオ・カストロネベスがアイスデビュー。自身初となるサーフェス、その未知との遭遇に「とにかく笑いが止まらないよ」と、満喫の表情を浮かべた。
ノルウェー・ゴルのアイストラックで開催されたラリーX・オン・アイス最終戦に招待されたカストロネベスは、これまで16年間親しんできたインディカーや、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のプロトタイプとはまるで異なる、完全に新しいドライビング体験に挑戦することとなった。
イベントに先立ち1日から現地入りしたカストロネベスは、ラリークロス界の名門オルスバーグMSEが用意した前後バンパーを外したスーパーカー・ライト仕様のフォード・フィエスタで、テストとマシン完熟を兼ねた“処女走行”を行った。
「いや、本当に参った。笑いが止まらないんだ(笑)。まず最初に、これは僕が思いつきもしなかった経験を積む最高の機会だ。ラリークロス車両はもちろん、雪上のドライビングでさえ初めてなんだからね! 僕を招待してくれた(シリーズ主催者でオルスバーグMSE代表の)アンドレアス・エリクソンに感謝を捧げたい」と、終始ご機嫌で語ったカストロネベス。
「走り始めてから、ここにいるみんながすぐに僕にアドバイスをくれて、どうやってマシンを横に向けたらいいかを教えてくれた。本当に楽しんでるよ。もし左にターンしたいなら、マシンを右に曲げる必要がある。すべてがあべこべなんだ! ブレーキングするたびにマシンは滑り始める。めちゃくちゃ楽しいね」
その楽しさとは裏腹に、このノルウェーの寒さはブラジル出身のカストロネベスにはかなりショッキングな現実でもあったようだ。
「誰もがマイナス20度とか25度なんて話をしてる。これは僕にとって本当に残酷だ。マシンでコースに出て行っても、5周もしたら戻ってこなくてはならなくなる。僕の手と足が凍り始めるからね! ブラジルで生まれて、今はフロリダに住んでいるから、雪に親しむ機会なんてまるでないんだ」
しかし、そのわずかな走行機会のうちにも、オープンホイールからプロトタイプ・カテゴリーのマシンまで、数多くの車両を乗りこなしてきた非凡なセンスが発揮され、徐々に雪上でのドライビングに適応し始めたカストロネベスだが、それでもドライビングをアジャストするのは過去最大の困難だったという。
「この2.5フィートの雪上トラックから僕の学習曲線は始まった。タイヤには本当にたくさんのスタッドが打ち込まれていて、コーナーに入るたびにグリップを得ようとすれば、必ずパワーを掛けている必要があると理解した」
「トラックの路面コンディションは多くのマシンが通過するたびに変化し、一度たりとも同じ路面μになることはない。常に挑戦だけど、それが本当に楽しいんだ。毎ラップが違うだけに、このシリーズに参戦するドライバーたちがどれほどの才能の持ち主かも十分に理解できた」
「いいニュースとしては、もしミスをしてコースオフを喫しても、スノーバンクに突撃するぐらいで、マシンを大破させる心配がないことだね(笑)」
先週末にこの初体験を終えたチーム・ペンスキーの僚友であるジョセフ・ニューガーデンからは「寒さに気をつけろ!」とのアドバイスを得たというカストロネベスは「彼は正しかった。僕は本当にこの気候に苦しんでいる」と笑いながらも、週末の目標を「他のマシンと競争し、パックから遅れを取らないこと」と「スノーバンクの友達にならないこと(笑)」として予選ヒートへ。
しかし残念ながら、セミファイナルに進出したニューガーデンを上回ることはできず、3度の予選ヒートを終えた段階で惜しくも敗退となってしまった。
「スライドやホイールスピンが始まったら普段はスロットルを戻すけれど、ここでは逆なんだ。それが短い期間で自分のマインドをチェンジしきれなかった最大の敗因だ。ニューガーデンと同じく僕もコースオフを喫したけど、スノーバンクはインディアナポリスの壁のように固くなかったからうれしいよ(笑)」
そしてカストロネベスがその才能を賞賛し、情報共有にもオープンだったことに「感動した」と語ったラリーX・オン・アイス・レギュラー勢の勝負は、全4戦のシリーズ中で開幕戦に続く2勝目をマークしたGRCグローバル・ラリークロス・ドライバーのオリバー・エリクソンが、栄えあるシリーズタイトルを獲得。ランキング2位にはWorldRX世界ラリークロス参戦中の兄ケビン・エリクソンが入り、兄弟でワン・ツー・フィニッシュを達成している。