人気が高まっているツーリングカーカテゴリー、TCRを立ち上げたWSCテクノロジーLtd.は3月7日、ジュネーブモーターショーでTCRの電動版『E TCR』の概要をアナウンスした。
ジュネーブショー開幕前に発足がアナウンスされ、セアトが専用マシン『セアト・クプラe-Racer』がお披露目されているE TCR。7日にはシリーズで使用されるマシンの概要が明らかにされた。
シリーズは4ドア、あるいは5ドアの市販ツーリングカーをベースとしたマシンで争われ、これに最大出力500kWの電動モーターと65kWh/800Vのバッテリーが組み合わされる。トランスミッションはシングルギアで後輪駆動、サスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット式、リヤがダブルウィッシュボーン式となる。
このうちモーターとギヤボックス、インバーターなどを含めたパワーユニットは共通パッケージとしてWSCが供給。参戦各社はシャシーとボディシェルなどを用意すれば参戦可能で、既存のTCRマシンを転用することも可能だという。
現時点でE TCRのスタート時期や開催スケジュールなどは明かされていないものの、2018年内にプロモーションイベントが行われる予定だ。
WSCグループを率いるマルチェロ・ロッティは「まずE TCRレギュレーションに沿ったクプラe-Racerを作り上げてくれたセアトに感謝したい」と述べている。
「なぜE TCRを立ち上げたのか? 我々にはツーリングカーレース界への責任があると考えていて、その結果、新技術開発のトレンドを無視することはできないと判断したからだ」
「すでに成功を収めているTCRと同じ技術的観点から取り組んでいる。我々の狙いはまったく新しいプラットホームを立ち上げることだ」
WSCテクノロジーのマウリシオ・スラフィロCEOは「ツーリングカーレース界で数年を過ごしてきた私にとって、E TCRプロジェクトは新鮮かつエキサイティングなものだ。電動レーシングカーのために新シリーズを立ち上げることを楽しみにしている」とコメントしている。
また、シリーズのスタートに先駆けてマシン製作を行ったクプラレーシングのジェイミー・プーチ代表は「新たに誕生するE TCRは真に革新的なプロジェクトだ」と期待を寄せた。
「E TCRはツーリングカーレース界をけん引するだけでなく、モータースポーツ界がツーリングカーレースについて考えを改めるきっかけにもなるだろう」
ABBフォーミュラEや二輪のMoto-Eに続く形で発足がアナウンスされた電動ツーリングカーレースのE TCR。既存のTCR車両を転用することも可能とされていることから、ホンダ・シビック・タイプR・TCRを始めとするマシンの電動版が登場する可能性もある。
TCRについては高まる人気を背景に、自動車メーカー各社も積極的に車両を展開しており、スタート時期は未定ながら、このE TCRは発足当初から多くのエントリーを集めることもあり得そうだ。