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亀梨和也、栗山千明との禁断の恋 『FINAL CUT』“制御できない愛”がもたらしたもの

2018年03月07日 15:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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「でも、彼が好き。好きなの」。


 3月6日に放送された『FINAL CUT』(カンテレ・フジテレビ系)の第8話「折り紙が語った真実…愛する君に復讐を」。12年前、テレビ番組『ザ・プレミアワイド』がきっかけで、母・恭子(裕木奈江)を殺人犯扱いされ、無実の罪で亡くした男・中村慶介(亀梨和也)。慶介は、事件の真相を知るため独自に動いていた警視庁新宿中央署の副署長・高田清一郎(佐々木蔵之介)が残した事件記録から、小河原祥太が真犯人だという新たな手がかりを見つける。そこで、祥太をかくまう小河原家を切り崩すため、小河原家の長女・雪子(栗山千明)を脅すことを決意。ついに慶介が、愛する女性にも“ファイナルカット”を突きつける。


参考:佐々木蔵之介の本心に驚愕 『FINAL CUT』登場人物それぞれの思惑が明らかに


 第8話では、“制御できない愛”が描かれていた。慶介は、兄・祥太目当てで雪子に近づいたが、いつしか愛してしまうように。真犯人である祥太に自首させるため、小河原家を脅そうとするも、結局雪子に“ファイナルカット”を突きつけることができなかった。真犯人の妹であり、なおかつ彼女の証言が、母・恭子を追い詰めるきっかけの一つになったのだから、頭では愛してはいけないと理解している。だが、想いを止めることはできない。それは、雪子もまた同じだった。小河原家の次女・若葉(橋本環奈)と同じ人を好きになってしまい、なおかつ彼は自分たちの兄、そして家族を恨んでいる。「でも、彼が好き。好きなの」。この雪子のセリフに、すべての想いが詰まっていたように思う。利用した慶介と利用された雪子。無実の罪で透明な檻の中に入れられた早川家と罪を犯しつつも他人にそれを押し付けた小河原家。互いを愛してはいけないと思いつつも、気持ちを抑え込むことができない。


 またそれは若葉も然りだ。慶介と雪子の関係、慶介の目的を知りつつも、彼を愛してしまう。そして、その報われない想いは徐々に姉への嫉妬、兄への依存、慶介への憎しみへと変化していった。好きという想いが“どうして?”になり、心がどす黒く染まっていく。気付いたら歪みきってしまっていた。若葉自身もコントロールしきれないほどに、慶介への想いが膨れ上がっていたのだ。


 さらに、彼女らの父・小河原達夫(升毅)と母・夏美(長野里美)もまた、家族への“制御できない愛”が、事件の隠蔽をもたらしてしまったという。祥太を愛しているからこそ「信じたかった」という想い。そして、雪子と若葉を愛しているからこそ、彼女らに普通の生活を送れる時間を与えたかった。「もし1日でも長く、この暮らしが続いたら。あと少し、もう少し。そうやって、今まで……」と涙する達夫。自分たちが愛しているものを守れるなら、他人である早川家を犠牲にしても構わない。頭ではそれがいけないことであり、身勝手すぎることだとわかってはいる。でも、理性に従えないほど、家族や自分を愛してしまっていたのだろう。


 事件の被害者である志穂ちゃんの遺族もまた、志穂ちゃんを愛している。事件から12年経った今、突然真犯人がいると言われても受け入れられない。ずっと憎んで来た女園長が犯人ではないのなら、この怒りはどこにぶつければいいのだろうか。女園長の息子である慶介が犯人の息子ではないとわかっていても、愛する娘にお焼香をあげるのは耐えられない。感情をコントロールできず、つい娘の仏壇の前に座る慶介を突き飛ばしてしまう。その反動で、生前志穂ちゃんが折っていた折り紙が床に散らばった。その中の一つに、「しょうた」と「しほ」の似顔絵が内側に描いてある折り紙があった。“折り紙”の語源は、確かな品質が保証されている物という“折り紙つき”から来ている。つまり、折り紙の中に描かれていた似顔絵は、真犯人が祥太であることを“間違いがない”と証明しているようであった。


 余談だが、チェインストーリーのタイトル「FAKE(偽りの顔)」「IDEOLOGY(信念)」「NIGHTMARE(悪夢)」「ATTRACTION(魅力)」「LIAR(嘘つき)」「CONFESSION(告白)」「UNITY(団結)」「TOPCASTER」それらの頭文字を取ると『FINAL CUT』になっている。これは、これまでの『FINAL CUT』の物語を表現している。


 チェインストーリーの中で、ワイドショー番組『ザ・プレミアワイド』人気司会者の百々瀬塁(藤木直人)が、趣味であるクロスワードパズルに「Fake・Ideology・Nightmare・Attraction・Liar・Confession・Unity」という落書きをしていた。『FINAL CUT』は物語自体が“クロスワードパズル”になっているのかもしれない。クロスワードパズルは、カギと呼ばれる文章によるヒントを元に、タテヨコに交差したマスに言葉を当てはめて、すべての白マスを埋めるパズル。 これまで『FINAL CUT』で描き出されて来た12年前の事件のヒントが、すべて集約されつながったとき、見えていなかった“新しい真実”が明らかになるのでは?とつい期待してしまう。そして、百々瀬が書いた落書きの最後の文字には、「TOPCASTER」ではなく、ディレクターの小池(林遣都)が予想していた「TRUTH(真実)」が入ってほしいと願わずにはいられない。(文=戸塚安友奈)