教員の過重労働が問題になる中、名古屋市は、現在すべての市立小学校で実施している部活動を2020年度限りで廃止する。21年度以降は、教員が携わらない形で運営できるよう、民間の力を借りるなども検討しているという。朝日新聞などが報じている。
名古屋市では、すべての市立小学校261校に運動系・文化系の部活があり、教員が顧問を務める。顧問を引き受けるかどうかは教員の自主性に任されていると言うが、半ば強制的にやらされているのが実態だ。
今回の方針決定は、教員の働き方改革を進める上で大きな一歩になるだろう。「全国の中学高校にも広めよう。教師に無賃労働を強いるの良くない」と歓迎する声の一方で、一部からは「子どもの経験格差が広がる」と懸念する声も上がっている。
「わざわざ教室に通いに行かないですむ部活は、興味を持ったことに気軽に挑戦できていいと思うけど……」
共働きであれば、小学生が学校から帰宅する時間帯に親が家にいないことも考えられる。人のいない家に帰ってこさせたり、塾に通わせたりするよりは、学校の部活で面倒を見てもらうほうが安心できるという声もある。
中日新聞によると、現在市内の小学校では、希望する4年生~6年生を対象に週3日ほど部活動が行われているそうだ。運営が民間になれば、利用者の経済的負担が増える可能性もある。家庭の経済状況によっては、入れる部活の種類が限られたり、入れなかったりする子どもも出てくるかもしれない。
タレントのフィフィさんもツイッターで
「世界をみても部活動は珍しいと思う、確かに部活動がスポーツの発展に貢献し、また親の共働きを助けてきたと思う。教師の負担軽減という理由は理解しつつも、海外の様に"スポーツは金持ちだけのモノ"にならないよう考えなければいけない」
と言及していた。ネットでも、「廃止は良いことだと思う」と賛成する意見がある一方で
「『学校で教師が教えるライトな部活』だからこそ運動できない子も参加できていたわけで、本格的にクラブに入って活動ってなると嫌がる子もいると思う」
「うちの子は、小学校の部活のおかげで和太鼓に興味を持った。 わざわざ教室に通いに行かないですむ部活は、興味を持ったことに気軽に挑戦できていいと思うけど……」
と、難色を示す人も出ている。今後は、教員の労働環境改善と子どもの教育機会確保をどう両立させていくかが、論点になりそうだ。