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第90回アカデミー賞『シェイプ・オブ・ウォーター』が4冠! デル・トロら熱いスピーチを披露

2018年03月05日 16:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 3月4日(現地時間)に米ロサンゼルスのドルビー・シアターにて、第90回アカデミー賞が発表され、『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞を含む最多4部門を獲得した。


 作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の4部門で輝いた『シェイプ・オブ・ウォーター』は、『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロが監督を務めた、半魚人と声が出せない女性とのラブストーリー。今回、初めてアカデミー賞を手にしたメキシコ出身のデル・トロは、監督賞のスピーチの際に「僕は、移民です……。僕たちの産業の良いところは、砂に引かれた線を消す手助けをしてくれるところです」と、国境をも越える映画の意義を語っていた。


 ファンタジーやクリーチャー(怪物)ものが作品賞に選ばれることは極めて珍しい。デル・トロは、『ゴジラ』や『ウルトラマン』などを愛する”怪獣オタク”として日本でもなじみ深い存在であるため、SNSからも「世界一のオタク」だと祝福の声が上がっている。


 また、『シェイプ・オブ・ウォーター』の強敵と言われていた『スリー・ビルボード』は、助演男優賞をサム・ロックウェルが、主演女優賞をフランシス・マクドーマンドが獲得。『ファーゴ』以来2度目の受賞となるマクドーマンドは、受賞スピーチにてハリウッドにおける男女格差を暗に主張。女性のノミネート者全員を立たせ、「わたしたち全員が、伝えられるべき物語を持っています。オフィスに招いてください、すべてをお話します」といかにハリウッドに女性の数が少ないかを会場と世界中にアピールした。


 そして、ゲイリー・オールドマンが主演を務める伝記映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で特殊メイクを担当した辻一弘が、日本人で初めてメイクアップ&スタイリング賞を受賞する快挙も成し遂げている。


 前年に引き続き今回司会を務めたのは、ジミー・キンメル。昨年『ラ・ラ・ランド』と『ムーンライト』を取り違えた際にプレゼンターを務めたウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイが今年も作品賞発表の大役を担い、ベイティは「またお会いできて嬉しいです」と会場の笑いを誘った。


 また、受賞スピーチは45秒以内と決まっているものの、毎年受賞者が感極まって時間が押してしまう同授賞式。しかし、今年は序盤でキンメルがストップウォッチを持ちながらスピーチの時間を測ると言い出し、さらに違反者には『ゲット・アウト』で謎の男アンドリュー・ローガン・キングを演じたレイキース・スタンフィールドが「出て行け」と叫びながら出て来るというルールが設けられたためか、例年よりかなりスムーズに進んだ印象だった。最後には、「マット・デイモンには出てもらう時間がありませんでした」と彼の宿敵デイモンいじりもあり、去年のような事件は起きず、無事に授賞式は幕を閉じた。(文=阿部桜子)
【第90回アカデミー賞 受賞結果一覧】


作品賞
『シェイプ・オブ・ウォーター』


監督賞
ギレルモ・デル・トロ 『シェイプ・オブ・ウォーター』


主演女優賞
フランシス・マクドーマンド 『スリー・ビルボード』


主演男優賞
ゲイリー・オールドマン 『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』


助演女優賞
アリソン・ジャネイ 『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』


助演男優賞
サム・ロックウェル 『スリー・ビルボード』


脚本賞
ジョーダン・ピール 『ゲット・アウト』


脚色賞
ジェームズ・アイヴォリー 『君の名前で僕を呼んで』


長編アニメーション賞
『リメンバー・ミー』


外国語映画賞
『ナチュラルウーマン』


視聴効果賞
『ブレードランナー 2049』


録音賞
『ダンケルク』


美術賞
ポール・デナム・オースタベリー(プロダクションデザイン) シェイン・ボー&ジェフリー・A・メルヴィン(セットデコレーション) 『シェイプ・オブ・ウォーター』


撮影賞
ロジャー・ディーキンス 『ブレードランナー 2049』


衣装デザイン賞
マーク・ブリッジス 『ファントム・スレッド』


編集賞
リー・スミス 『ダンケルク』


作曲賞
アレクサンドル・デスプラ 『シェイプ・オブ・ウォーター』


歌曲賞
「Remember Me」 『リメンバー・ミー』


音響編集賞
リチャード・キング&アレックス・ギブソン 『ダンケルク』


メイクアップ&スタイリング賞
辻一弘、デイビット・マリナウスキー、ルーシー・シビック 『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』


長編ドキュメンタリー賞
『イカロス』


短編ドキュメンタリー賞
『Heaven is a Traffic Jam On The 405(原題)』


短編アニメーション映画賞
『Dear Basketball(原題)』


短編実写映画賞
『The Silent Child(原題)』