F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点で第1回バルセロナ合同テスト後のチーム戦力を分析。極寒コンディションとなった状況でも見えてきたものとは……。第2回合同テストは3月6日~3月9日に実施される。
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■メルセデス ☆4.5
昨年このテストから最速1分19秒705&最長558周、まったく異次元の存在だったインパクトに比べると、☆半分くらいの違いがあるのでは。
初日のルイス・ハミルトンはリヤのナーバスな挙動を最終日に修正、好みに仕上げていった。
「テストは好きじゃない」と言う彼だがバルテリ・ボッタスは黙々と212周を走行。以前のマクラーレン・ペア、テスト嫌いなミカ・ハッキネンと積極的なデビッド・クルサードに似た二人。次のテストのポイントはボッタスの仕上がりか。
■フェラーリ ☆4
極寒コンディションにもかかわらず、これまでタイヤ温度管理に悩んできたキミ・ライコネンが初日からスムーズ・ラン。これは大きな変化だ。最終日にはインターでロングランのセバスチャン・ベッテルがボッタスと同じ時間帯に走行、だがやや遅れた。昨年時点よりも彼自身はメルセデスとの差を感じたのでは。
■レッドブル ☆4
周回数は少なくとも明らかにRB14はポテンシャルを高めてきた。初日、ダニエル・リカルドが安定したトラクション特性を示し、いきなり35周ロングランに移行。2日目のマックス・フェルスタッペン自己ベストは燃料重量を考慮すればトップ3の1分19秒台に匹敵する。彼らはフェラーリに居並ぶ好発進を切った。
■フォース・インディア ☆3
新車初試走を新人ニキータ・マゼピンに任せたところに、今回のテストは完成が遅れたVJM11の基礎的な確認がテーマだったとうけとれる。中間チーム勢から“仮想敵”と狙われていて、開幕までにアップデートを整えられるか、ランク4位防衛戦は相当厳しい。
■ウイリアムズ ☆3.5
最も目立つのは苦手だったウエットコンディションで新人セルゲイ・シロトキンが確実な進化を見せたこと。2日目午後にはリザーブ&開発ドライバーのロバート・クビカがFW41を“テスト”、彼のテクニカル・フィードバックはとても貴重だ。これを若いふたりがどう反映していけるのか、次回はそこに注目。
■ルノー ☆4
チーム改造が着々と進行中だ。昨年終盤に見せた戦力アップを引き継ぎ、空力面のアップデートをここから早くも実施。次回テストを踏まえてさらに開幕戦に本番スペックを投入予定。ニコ・ヒュルケンベルグとカルロス・サインツJr.のコンビ力もそろい、現段階から「ビッグ・ジャンプ」の予感が……。
■トロロッソ・ホンダ ☆4
なによりも「信頼性ファースト」を合言葉に日/伊・新体制スタート。その目的を最多324周で達成、ホンダ換装を短期間にやってのけたSTR13である。
昨年までインディに携わっていた田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクターは、“500マイル超速耐久”の経験があるだけに信頼性にこだわるエンジニア。次回はいよいよパフォーマンス・ランへ、新PUと新鋭二人のドライビング力に期待がつのる。
■ハース ☆3.5
ダイナミック・ダウンフォースの向上がセクター1で顕著に現れた。フル・モデルチェンジされたVF-18は、やや弱みのあった高速コーナー・ワーク改善を追求した3年目の“勝負マシン”。チーム別5位タイムでポテンシャルを確認、あとはトータル・リライアビリティが課題だ。
■マクラーレン ☆3.5
最終日に3位タイムのストフェル・バンドーンはスローラップをはさみ2度アタック・ラップを実行、初めてルノーPUでのパフォーマンスをトライ。
この4日間を通じてチーム全体に攻めの姿勢がはっきり見てとれた。フェルナンド・アロンソが極寒3日目に一人だけ11ラップするなど、脱ホンダからの意気込み(?)がありあり。マイナー・トラブルが気になったものの復活への「小さな一歩」を踏み出した。
■ザウバー ☆2
チーム別4位相当の283周消化はまずまずでも、タイム的には伸びしろが見られなかった。マシンコンセプトを大幅に変えただけに、現場スタッフが基本セッティングを構築するのに手間取ったのだろう。
4年目マーカス・エリクソンも新人シャルル・ルクレールも方向性を模索中、野心作C37の船出にはいい船頭(キャプテン)が必要か……。