トップへ

WRC:トヨタ、2017年は熱害に苦しんだ第3戦メキシコに挑む。対策には「日本の設備も活用」

2018年03月02日 18:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2017年、トヨタはラリー・メキシコ特有の暑さと空気の薄さに苦しめられた
2018年、WRC世界ラリー選手権復帰2年目に挑んでいるTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑むシーズン3戦目は灼熱の高地、南米メキシコを舞台とする第3戦メキシコだ。

 2年連続の大会制覇に臨んだ第2戦スウェーデンでは思うような結果を残せなかったトヨタ。迎える第3戦は今シーズン初のグラベル(未舗装路)イベントで、2017年に熱害に苦しめられたラリー・メキシコだ。

 イベントの中心となるメキシコ・グアナファト州の都市、レオンは3月の最高気温が摂氏30度前後に達する地帯。

 また標高も約1800メートルと高い上、競技が行われるSSによっては標高2700メートル以上のエリアを走行することから、シリーズでもっとも空気が薄いエリアでのラリーとして知られる。

 2017年、トヨタ陣営はこの暑さから来るオーバーヒートと、酸素が薄くなることによるエンジン出力低下に苦しめられ、総合6位が最上位と苦戦を強いられた。

 2018年大会に向け、チームは日本にある低圧試験設備も活用して対策を実施。トヨタ・ヤリスWRCの冷却系やエンジンに手が加えられた。

 そんな2018年大会は現地8日(木)夜にグアナファト中心部の市街地で行われるSS1で開幕する。このステージは2.53kmと短い距離ながら、途中に地下トンネルを通過するなど、迫力ある走行が繰り広げられる。

 翌9日(金)からはグラベル主体のSSが舞台となり、本格的に競技が開幕する。9日はSS2~SS10までの9SS、競技3日目の10日(土)はSS11~19までの9SS、最終日の11日(日)はSS20~22の3SSだ。

 全22SSの合計距離は344.49km、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は1055.88kmとなっている。

■ラトバラ「サスペンションを改良した結果、駆動力とブレーキング時のグリップが改善

「去年、メキシコは新参の我々チームとクルマにとって非常に厳しいラリーになったから、それを解決するために多くの改善作業を続けてきた」と語るのは、チーム代表のトミ・マキネン。

「前回発生した問題をすべて分析し、冷却系およびエンジンに改良を施した。また、(メキシコは標高が高いエリアが舞台となるため、)日本にある低圧試験設備も活用したよ」

「以上のような領域についてかなり力を入れて改善に努めてきたから、すべてが完全に機能すれば充分に競争力のあるパッケージとなるはずだ」

 トップと18点差のドライバーズランキング3位につけるラトバラは「メキシコのステージは非常に高速なセクションと、低速なセクションの両方があり、走行ラインの外側には岩が転がっているため正確なドライビングが求められる」と述べている。

「我々は先週、スペインでグラベルテストを行なっていい結果を得たんだ。もちろんメキシコはもっと暑くなるだろうが、1年のこの時期にヨーロッパでできるテストとしてはベストな環境だったと思う」

「サスペンションに改良を加えた結果、駆動力とブレーキング時のグリップ力が去年の終わり頃よりもよくなったように感じたよ」

 また、オット・タナクは「ラリー・メキシコは、ヤリスWRCで戦う最初のグラベルラリーだ。メキシコでの実戦経験は充分にあるから、リラックスしてラリーに臨むことができる」とコメント。

 今年がラリー・メキシコ初出場となるエサペッカ・ラッピは「去年、コースのレッキ(事前下見走行)は行ったけど、どのようなラリーになるのか予想がつかない」としながらも、「すべてのステージを走り切り、将来のために経験値を高めることが今回の目標」と語っている。