東京都は2020年の五輪開催にあたり、都内で結婚を望む人たちを後押しする狙いで「結婚応援動画」を作成し、先月から公開している。
内容は、交際中の男女が、1964年の東京五輪の年に結婚した祖父母たちに思いを馳せ、次の東京五輪に向けて結婚の意思を持ち始めるもの。最後の「(東京五輪を)あなたは、誰と観ますか?」というナレーションが印象的だ。街頭の大型ビジョンや地下鉄車内、映画館などで上映されている。制作やPRには約3000万円かかったという。
動画公開後、ネットを中心に「意味あるの?」など懐疑的な声が上がっていた。3月2日の「スッキリ」(日本テレビ系)でもこの動画が取り上げられ、スタジオの出演者5人全員が「結婚の機運情勢にはならない、意味ない」という立場を表明していた。
「五輪を盛り上げようって動画の一貫に入っているならいいけど。押し付けるとしたくなくなるからね」
出演者らは、結婚という個々人が判断すべき問題に、自治体が「後押し」という体裁で関与することに疑問を抱いているようだ。芸人の近藤春菜さんは映画館で偶然動画を見たというが、「結婚応援動画だと思わなかった」と言う。
「50何年ぶりにオリンピックもうすぐだね、っていうような訴えだと思った。意図が伝わってないので意味がないと思う」
MCの加藤浩次さんも「VTR自体は悪くないと思う」と一定の評価はしたものの、「結婚の機運を醸成とか言ってああいうの見せるから意味ない」とばっさり切る。
「皆まで言うなよと。オリンピックみんなで盛り上げようって一貫であのVTRが入っていてなんか刷り込まれて、あ、いいなあってふわっと思わせることが機運を醸成することだと思うんですよ。『機運を醸成しますからはいこれ』って言われたら、『えーそんなの意味ない』ってなるんだって。なんでも説明し過ぎ。押し付けられるとしたくなくなるからね」
「東京都は新たに結婚するすべての世帯に結婚支援金を提供します、なら良かった」
番組に出演していた女優の本上まなみさんは、「もし後押ししたいなら、どうして結婚できないような状況になっているのか、詳しく調査して掘り下げていかれたらどうかしら」とコメントしていた。ネットでも
「結婚応援動画なんか作ってねぇで、安心して結婚できる給与与えろ」
「最後が『東京都は新たに結婚するすべての世帯に結婚支援金を提供します』とかなら良かったのに」
といった声が相次いでいる。なお、番組放送中に実施した視聴者投票では、動画は「意味ない」(2万6812票)という意見が「意味ある」(6550票)を大きく上回っていた。