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"金太郎飴状態"のリアル店舗を改革へ、東急ハンズが自社スタッフによる編集コーナーを新設

2018年03月02日 12:53  Fashionsnap.com

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東急ハンズが、自社スタッフが編集したコーナーを展開するプロジェクト「Hi! Tenshu」を始動した。1号店として3月1日から新宿店に導入。世の中が"モノからコト消費"へとシフトするなか、同社では次の段階として"人"にフォーカスし、新規ファンの獲得を目指すという。

 「Hi! Tenshu」では東急ハンズ新宿店の3階から7階までの各フロアに"店主"を務める自社スタッフによるコーナーを新設。これに伴い、開業21年目を迎える同店では2回目となる大規模なフロアリニューアルを実施した。
 3階にメンズビューティー&フィットネスに関連するアイテムを男性スタッフの視点で紹介する「おとこっぷり商店」、4階にアッパーミドル層の男性をターゲットにした「一杯の珈琲商店」、5階に快適な眠りのある暮らしを提案する「ぐっすりスヤスヤ商店」、6階に靴マニアによる「輝く足元商店」とハンドメイドに最適な材料を取り揃える「世界にひとつだけの商店」、そして7階にはアッパーミドル・シニア男性向けのユニークかつマニアックなバラエティショップ「遊びゴコロ商店」を展開している。「一杯の珈琲商店」ではベーシックなアイテムに加えて、ハリオの振り子がつくる水出しコーヒー「ウオータードリッパー・FURIKO」(12万円)や、コーヒーマシン「V60オートプアオーバー Smart7」(5万円)と高価格帯のアイテムを新たに取り扱い、商品ラインナップを拡充。店主を務める向井崇広氏によると、バリスタ世界チャンピオン粕谷哲が手掛けた商品など「モノがいいだけではなく、作り手の思いが伝わるものが売れる傾向がある」といい、今後は売るだけではなくトークイベントの開催などを予定している。
 東急ハンズの業績は横ばいが続いているが、広報の照井慰氏は「新規出店で保っている部分もあり、今後手を打っていかなくてはいけない」と危機感を示す。その打開策にもなる今回の施策について、「ECが発達するなかで、顧客が希望する商品が自動で届くような"予想される未来"ではなく、"偶発的な体験"がリアル店舗に求められている。その軸となるのが"人"だと考えた」とポイントを説明。人を軸にした売り場作りは銀座ロフトが先立って取り組んでいるが、東急ハンズは外部から知見のある人を招くのではなく「社内に個性豊かなスタッフがいることが強み」とし、創業から40年以上にわたり培ってきたカテゴリーに対するノウハウを各店主の感性で自由に編集してもらうことで個性のある売り場を作り上げ、差異化を図る考えだ。
 同社は創業時は店舗ごとで仕入れ販売制度を導入していたが、約10年前に廃止した結果、「金太郎飴のように、似たような店舗が増えてしまった」と照井氏は振り返る。「Hi! Tenshu」での店主の役割は商品のディスプレーやセレクト、接客がメインになるが、仕入れの面でも店主の声を反映していきたいという。反響次第では他の店舗にも「Hi! Tenshu」の導入を検討。また、店主というポジションをつくることで社内スタッフのモチベーション向上にもつなげていきたいという。