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あのタレントは「美容整形してる」「劣化した」…こんなネット投稿は名誉毀損か?

2018年03月02日 10:23  弁護士ドットコム

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繰り返しネット上でささやかれている整形疑惑について、「アミーゴ」の愛称で知られる歌手、鈴木亜美さん(36)がツイッターで反論している。


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鈴木さんは2月16日、自身のツイッター上で、「してないのにね」と否定。「どれだけ傷つくかもわからずに真実ではないことをあたかも真実のように話す人。何も知らないのに、何言ってるの???」と怒りと悲しみをにじませている。


この投稿について、応援・賛同のツイートもあるが、「いじってるでしょ」「ほんとにしてなかったらそんなに感情的にならない」という返信も寄せられている。心ない人たちが少なくないことが浮き彫りになっている。


インターネット上では、鈴木さんのような「整形疑惑」だけでなく、「あのタレント(の見た目)は劣化した」などという投稿なども、数限りなくおこなわれている。真実かどうかはおいといて、その人を傷つけていることはたしかだろう。


●「美容整形してる」は社会的評価を低下させる表現だ

インターネット問題にくわしい深澤諭史弁護士は「結論から言うと、『美容整形している』という表現は、名誉毀損に該当する可能性が高いでしょう」と指摘する。


そもそも名誉毀損とは、相手の名誉を傷つける表現をいう。ここでいう名誉とは、人の社会的評価だ。その人の社会的評価を低下させるような表現は、原則として、名誉毀損に該当する。たとえ、真実であっても、嘘であっても。


「例外として、公共の利害に関する事項についての表現で、その目的が専ら公益を図ることにあった場合(要するに、社会の正当な関心事)で、さらに重要な部分において真実であることが証明されたのであれば、適法な表現となります」(深澤弁護士)


美容整形は「よくないこと」なのだろうか。


「私は、非難されるようなことではないと思います。しかし、世の中には、不名誉であると考える人も少なくないでしょう。ですから、こうした表現は、人の社会的評価を低下させるといえます。なお、同様の理屈で、『整形している』との投稿が名誉毀損にあたるとした裁判例もあります」(深澤弁護士)


●「名誉毀損の『例外』とされる場合はほとんどない」

それでは「劣化した」という表現はどうだろうか。女優やタレントから、以前とくらべて美しさ・輝きが失われているように感じた場合、ついつい投稿してしまう人は少なくない。「これくらいいいだろう」という感覚もあるかもしれない。


「容姿が悪くなっているほか、『その人の価値が低下している』という表現ともいえます。これは、社会的評価を低下させる表現であるといえるでしょう。したがって、名誉毀損に該当する可能性が高いと思います」(深澤弁護士)


「美容整形してる」「劣化した」といった表現が、名誉毀損の「例外」(適法)とされる可能性はないのだろうか。


「これらの事実について、著名人については社会の正当な関心事といえる可能性もあるかもしれません。ですが、よほどその人の活動に密接不可分といえない限りは難しいでしょう。また、それ以前に、真実であるという証明がないのであれば、適法化される場合はほとんどないと思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
深澤 諭史(ふかざわ・さとし)弁護士
ネットやコンピューターにまつわる法律事件を中心に取り扱う。ネット選挙の法務では関係者向けの講演などを実施。著書に「その『つぶやき』は犯罪です(共著、新潮新書)」がある。特設ウェブサイト: http://IT法務.jp

事務所名:服部啓法律事務所
事務所URL:http://hklaw.jp/