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深田恭子が切ない笑顔を封印 『となかぞ』第7話、これまでで一番胸が苦しくなる回に

2018年03月02日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 不妊治療に挑む五十嵐奈々(深田恭子)&大器(松山ケンイチ)夫妻を中心に、問題のある4家庭を描くドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。3月1日に放送された第7話では、これまでリセット(不妊治療中に生理が来ること)が来たり、義理の妹・琴音(伊藤沙莉)の出産に立ち会ったりと、不妊治療者にとって辛い経験をしても笑顔を絶やさなかった奈々が、ついに胸の内をあらわにしたような回だった。


参考:写真と振り返る『隣の家族は青く見える』第7話


 大きな愛と優しさでお互いを支えていく五十嵐夫妻の微笑ましさが見どころの1つでもある本作。特に大器の奈々に対する温かい言動は、放送されるたびにTwitterなどで話題になり、多くの視聴者から「こんな旦那さんが欲しい」とうらやむ声が上がっていた。


 しかし今回で大器の心境に大きく変化が……。前回の第6話で大器が会社の後輩・矢野朋也(須賀健太)に「妊活クライシスではないか」と指摘されていた通り、不妊治療の成果が得られなかった五十嵐夫妻の間には、徐々に溝ができてしまっていたのだ。


 人工授精でも赤ちゃんを授かることはなく、第7話から体外受精へステップアップを試みる奈々だったが、大器は物憂げな表情で「もうやめない?」と治療を諦めることを提案する。不妊治療が原因でけんかが起こり、排卵日に合わせてスケジュール管理されたセックスに気持ちが入らないことを嘆く彼の姿は、これまでの優しさからは想像もつかないような冷たさがあり、今回の2人のすれ違いには胸が苦しくなった視聴者も多かったことだろう。


 そんなピンチのときはやはり、高畑淳子演じる大器の母・聡子が役に立つ。それぞれのパートナーの愚痴を言いに、昼から飲みに来た大器と小宮山真一郎(野間口徹)と川村亮司(平山浩行)。聡子も始めは「そんな日もある」となだめていたものの、話を聞いているうちに「すれ違いが起こるのは、心に寄り添ってない証拠!」とするどい喝を入れた。思わずスカッとさせられるさすがの母親っぷりだった。


 夫婦だけでなく、恋人、兄弟、同僚など、人々は様々な間柄で他者と付き合っていかなければならないが、その間で生まれていた問題は、当事者での話し合いなしでは解決には向かっていかない。もちろん飲み会などでの息抜きは最高で必要だが、問題と当事者に向き合うことの大切さを聡子はたった一言で諭した。


 聡子の喝が効いてか、「奈々がつらい思いをしている“はず”」と察してきただけの大器は、奈々から不妊治療に対する本当の思いを聞くことができ、さらには自身が治療のつらさからカウセリングに通っていることを奈々へ打ち明けた。第6話でキスが減ったと悩んだ奈々だったが、逆境を乗り越えたからこその2人のベッドシーンは、なによりも愛を感じ、美しく純粋だった。


 本音はすべて打ち明ければいいというものではなく、相手に心情に合わせて伝えなくてもいい内容ももちろんある。しかし、事実婚カップルの杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)が、息子になんでも買い与えてしまう亮司に対して、「心のなかに入っていかなきゃ」と嫌われることを恐れない心を持つべきだと語っていたとおり、2人の間に愛情があるのならば、自分の考えを伝えなければ互いの成長には繋がらない。


 ほか3家庭でも、青木朔(北村匠海)は高卒認定試験の勉強に励み、広瀬渉(眞島秀和)は母親ふみ(田島令子)にゲイをカミングアウト、真一郎は妻・深雪(真飛聖)にボランティアで働きたいと次なる夢を語るなど、それぞれが本音を通して一歩先へ進んだ第7話。その中でもやはり今回は奈々の成長が著しく感じられ、今まで言えなかった職場への不妊治療も打ち明けることができた。さらに驚くことに最後には、奈々が妊娠したかのような予告編が流れる。


 放送が重なるごとにキャラクターへの愛情が増していく本作。物語が終盤に向かっていく中で、各家庭がどんな形でも、それぞれの幸せを掴んでくれることを祈りたい。(阿部桜子)